追憶
■ ■ ■
どうしてこうも、君は嘘吐きなんだろうか。
雲雀恭弥は墓の前にたたずみ、ただその白い墓石を見つめていた。
世界を飛び回りながらもおよそ見る機会の無い様式の白く縦長の分厚い墓石、そこに刻まれた無機質な名前。
緑に囲まれ佇むそれは、なんというかあまりにも、そう、薄っぺらすぎた。
『大丈夫だって、また会えるよ』
嘘吐き。
吐き捨てた言葉は、声にならずに唇だけ動かす。
この、大嘘吐き。
なにが大丈夫、だ。また会える、だなんて軽々しくも。
もう、2度と会えないじゃないか。
死に際すら見られなかった、その思いが胸を焦がし喉を焼き、したくもない嗚咽を漏らす。
雲雀は口元を手で覆い、忌々しげに視線を横に向けた。
広がる青空が、視界の隅にチラつく。
「……嘘吐き」
やっと出た声は、掠れ震えた酷いものだった。