血色
■ ■ ■
血、血、血――。
「……美味しい」
ごくり、喉を嚥下させた彼がそう言って笑う。
唇を淫らに赤く染めた、その表情は少年とは思えないほど艶やかなものだった。
「……僕としては、たまったものではないんですが」
「骸のが1番美味しいからね」
ペロリ、赤い舌が唇を舐める。
仕上げのように肩口をひと舐めすれば、あっけなく血は止まる。
「全く嬉しくない」
「嬉しかったら問題だね」
そういう趣味かと思うよ。
そう言って彼は口を手でぬぐった。
先ほどよりも生き生きとして見えるユイの顔を眺め、骸はため息をつく。
襟元を引き寄せれば、そこに残ったわずかな傷跡はもうわからない。
「……怪我に障る」
「ごめんね」
ちっとも思ってない顔をしているのだから言わないで欲しい。彼はけろりとしたものだった。
骸×吸血鬼夢主。
一応10年後設定でした。