Happening
瑠久君がだるそうなのは、少し前からの話だった。
「瑠久君」
「…何、ツナ」
端的な返事はいつも通りだけど、その目元は少し陰っている。
だるそう、というのは間違いかもしれない。
机にひじをついてこっちを見る瑠久は、どちらかというと辛そう、だった。
見ているこっちの胸が痛くなりそうな。
「…なんだか、元気ないね。大丈夫?」
「…そう?」
別にいつもと同じだよ。
淡々と返された言葉の単語が、妙にぶちぶちと千切れて聞こえたのに気が付いた時には、
「瑠久君っ!!」
もう遅かった。
バタン。
やたら腹に響く重たい音がして。
机から床に倒れ込んだ瑠久君は、
固く目を閉じたままぴくりともしなかった。