夢の世界に溺れる | ナノ
出迎えぐらいは熱狂的に
「ギンタおめでと! ピースっ!」
「うおっ、シー?!」

 なんか物凄くカッコいい(そしてデッカい)ガーディアンアームを出し勝利したギンタに、俺はV字の右手を差し出し勢いよく出迎えた。我ながら稀に見る大興奮状態だ。

「やったなー! さすがにあんなすげーバトル見せられるとは思ってなかった俺!」
「あ、ありがと……って重い、重いんだけどシー!!」

 ぎゅうううう、と抱きしめるついでに体重をかけると、あっさりギンタがひっくり返った。あ、やべ。やりすぎたか。 

「わりー、感動しすぎて!」
「ちょっとズルいわよシー! ギンタン、私もぎゅってしてあげる!!」
「い、いや……」

 俺が離れた途端、迫るドロシーに後ずさるギンタ。うんうん、青春だねえ。

「……シー」
「うおっとアルヴィス」

 この間のあまり良いとはいえない再会から丸1日、自己紹介以外話しかけてくれなかったアルヴィスが、なんと、俺の肩に、手を置いた……!

「えっなに」
「……オレの戦い、見てなかったと聞いた」
「えっだって見る必要ないジャン」

 わざわざ勝つって決まってる試合見るか?と俺が首をかしげれば、むすっとした(わかりにくいけど)顔のアルヴィスは、また口を開いた。

「……ジャックの時も見に来てなかっただろう」
「えっだって負け試合見る趣味も無いし」
「お前は……」

 呆れた目を向けられたが仕方ない。だって、悪いけどジャックの魔力弱々だし。

「まあ、明日は楽しみにしててよー」

 肩に置かれたアルヴィスの手をさりげなく払い、俺はレギンレイヴ城へと歩き出す。

「俺絶対勝つからー」
「……そういう奴が1番危ないんだ」
「へへっ」

△▼


 振り払われた手を見つめ、アルヴィスは小さく息を吐く。

「……どうすれば、いい」

 次こそは、と固めた決意を貫くには。


 ため息をついて右手を見つめるアルヴィスと去って行くシー。
 2人を眺める金髪と魔女がいる事に、当の本人達は気がつかないまま。


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