見る価値も無い1stバトル
「じゃー、あとよろしく♪」
「えっ、ちょっ、シー!」
ジャンケン負けたし、暇になっちゃった。
くるり。フィールドに背を向けて1歩踏み出せば、後ろから慌てた様子で叫ぶ声。
……お、さっそくあだ名で呼んでくれんのかギンタ。ほんとお前、いい奴だよなあ。
「なに?」
顔だけ振り返ってにっこり微笑めば、ギンタは眉をひそめて俺を見つめた。
「初試合だぜ! 見てかないのかよ!」
「えー、だって最初アルヴィスだろー?」
「6年間の付き合いなんだろ?!」
「そーだよ、だからわかるよ」
どうせ勝つ試合など興味アリマセン、俺。
「はあ?!」
「ギンタ辺りで戻ってくるからー」
ブンブン、と手を振り歩き出す俺に諦めたのか、それ以上大声が聞こえることは無かった。
……いくつもの視線が背中に突き刺さりましたが。
△▼
「やー、ガイラのおっさん。元気ー?」
「……シティレイア」
ガチャ、とノックもせずに入り込めば、ベッドの上で身じろぎをする渋い顔。
「良かったー、意外と元気そうで俺安心」
「……お前」
せっかく人が慰めの言葉をかけてるっていうのに、ガイラは気難しい顔で口を開く。
あーやめてやめて、俺陰気くさい説教とか大嫌い。
「……なぜ、ウォーゲームに参加したのだ」
「うっわ、アルヴィスとおんなじこと聞く?」
「……ならアルヴィスの疑問も正当だ」
難しいこと言わないでよ、俺バカだからワカリマセン。
「お前が参加したとなれば、ファントムが黙っていない」
俺を見据えるガイラの目。
ああやだな。何年経ってもどれだけ容貌が老けても、目だけは変わらないんだから。
「もー無理だろ。バレてるだろーし」
「……愚か者め」
何それ、まじで老人くさいよ。
俺はただ微笑んで、ひらひらと手を振った。
城の外では歓声が聞こえる。悲鳴かもしんないけど。……さあてギンタ、そろそろ君の出番かな?
「じゃあ俺はここらへんでーっ」
「待てシティレイア!」
あいかわらずだねガイラ。俺のこと本名で呼ぶのはあんたくらいだよ。