夢の世界に溺れる | ナノ
呪いは解けない
「今からお前たちの呪いを解く!」

 すっごいイイ顔でギンタにぐっと親指を立てられ、気づけば前に出される俺とアルヴィスとおっさん。
 え、これ何?なんでこんな目立ってんの俺ら。
 ていうか呪いってアレか、ゾンビタトゥか。

 いやおっさんはもしかしたらだけど俺たちは多分、と横目でアルヴィスを見やれば、同じくこちらを見ていた蒼い目とばっちり視線が合う。
 うわやべえ。照れる。

「……真顔でそういうことを言えるあたりお前はおかしい」
「照れんなって」

 殴られた。痛い。

△▼


 結果はやっぱり、俺たちの予想通り、だった。
 喜びの舞(エドワード殴り)を繰り広げるおっさんを横目に、俺はアルヴィスへ視線を向ける。
 アルヴィスは悲しそうな顔でうつむいた。

「……俺たちの呪いはファントムにかけられた。奴を殺すこと以外、消すことはできない……」
「そんな……」

 悲痛に顔を歪めるギンタに、隣でアルヴィスはただ、静かに微笑む。

「気持ちだけ受け取っておく。ありがとう、ギンタ」

 うわめちゃくちゃ綺麗な顔。やば。
 といつまでも見とれていたいところだが、俺はギンタに顔を向け肩をすくめた。

 ギンタ、すごく悔しそうな顔してるし。俺のために呪い解こうとしてくれたんだし。
 まあ、ねえ?
 ここはやっぱり、フォローしとく、べきだよな?

「そーそー。気持ちがだいじ気持ちが。それよりゴスロリ好みなのギンタ?」
「おまっえは、この空気でそーゆーこと言うかあ?!!」

 途端、顔を真っ赤にして叫びだした少年に、わかりやすいなあ、と俺は笑って手をひらひら振った。

 ほんと、わかりやすいね。
 君のそのまっすぐな想いも、無邪気さも、こんな俺の呪いまで解こうとしてくれる優しさも。

 どこまでも透明で、どこまでも俺とは真反対な、それは。


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