青白い月光に照らされて、
でも彼はもっと青白い顔をしていた。
「…恭弥」
「なに」
「すきだよ」
月光にうっすら照らされた、
ユイは目を細め笑う。
「…最近、よく言うね」
「そう?」
恭弥が言ってくれないからね、
と、彼はちょっとすねぎみに口をすぼめた。
でもすぐにはにかんだように笑うから、
それが本心じゃないってわかってしまう。
「…すきだよ」
白い腕を引きよせる。
濃紺の影を落とすシーツのしわの上、
細身の彼の体は雲雀の胸にすっぽりおさまって。
「……ふいうち、とか」
かぼそい、震える声にふと目を落とせば、
顔を赤らめてあらぬ方向を見やるユイ。
思わず、口元がゆるんだ。
「…恭弥って、絶対、たらし」
「何馬鹿なこと言ってるの」
「あーあ、俺って苦労者」
「なに、嫉妬してくれるの」
「…もう」
ますます頬を赤くして、
彼はこちらの胸に、頭をさらに押しつける。
穏やかな月光が、僅かに開いた窓の隙間から射し込んでいた。
ひんやりとした風は気まぐれに吹き、凪いでいく。
夏は、
すぐそこまで来ていた。
「…恭弥」
「なに」
「……だいて」