君は泡に死にゆくの | ナノ

きえないでをねがう証

「ん、恭弥?」
「黙ってて」


急に近付いた綺麗な顔に、ユイは目も閉じられなかった。


「…珍しい。どしたの」
「別に」


離れてゆく顔はいつも通り無表情。
たいていの事はわかるのに、たまにすごくわからなくなる時がある。
読み取れない、彼の内心。


「…あーあ、恭弥の思ってる事が全部わかる機械があればいいのに」
「なにそれ」
「欲しいものー」
「…なら僕は、君を救う機械が欲しい」


振り返ったユイの穏やかな目と、
感情を見せない雲雀の目がぶつかり合う。


「…そんなこと、言わないでよ恭弥」


ほんの僅か、小首を傾げて。
ユイは、目を細めて微笑む。


「……そろそろ、暑くなってきたね」





ねえ、
どうして君は死にゆくの。



向日葵がのびやかに葉を伸ばし出した。
雲は白く薄くなり、
やがてまた鮮やかに空を彩る。



ねえ、
どうして、


君は、僕をかばったの。



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