騒ぐ3人組とお昼ご飯▼ ▼ ▼
「…そういえば、なんで天原さんって風紀委員になったの?」
「……は?」
今更と言えばかなり今更すぎる質問に、私は目を丸くして綱吉を見返しました。
時刻はお昼休み、場所は屋上、
目の前にはお弁当。
言わずもがな、今は昼食タイムです。
「そりゃもちろん、雲雀恭弥をボッコボコのフルボッコにするためです」
口に入れようとしていた卵焼きを手前で止め、私が答えるとなぜか一同そろってむせ返りました。
あ、ちなみに一同というのは、沢田綱吉、獄寺隼人、山本武の問題児3人組。
常に騒がしく問題を起こす、だから問題児。
…別に仲良しな訳ではありません、なんで一緒にお昼してんのとか聞かないでください、私にもわかりません。
「…っ、おま、それは…」
「…唯斗が言うと冗談に聞こえないなー」
「天原さんなら、やりかねないね…」
上から獄寺、山本、綱吉の反応。
だから冗談じゃありませんよ山本、本気ですってば。あといつの間に私のこと呼び捨てになってるんですか、まあいいんですけども。
そういえば骸や委員長も呼び捨てですね私の事、と至極どうでもいい考えにお茶を飲んでいると、
「…天原さんは、雲雀さんのことをどうしてそんなに倒したいんですか…?」
俺なら関わりたくないけど…と、どことなく青い顔の綱吉。
相変わらず可愛いらしいとこありますよねえ、残念ながら凪ちゃんの風上にも置けませんが。
「そりゃ10代目、天原も似た者同士だからじゃないっすか?」
「誰が似た者ですか」
なんとおぞましい事を。
叩き潰しますよ?とハンマーをチラつかせると、
だからそれだろ!と叫びダイナマイトを構える獄寺隼人。
慌てふためく綱吉をよそに、まーまーまーと山本武がこちらをなだめてきました。
「落ち着けって唯斗ー」
「私は十二分に落ち着いています」
片手でハンマー抑えて片手で肩を叩く、その無駄に距離の近いなだめ方やめてくれませんかねえ。
なめてるんですか?
「悪かったって、あいつも悪気は無いからさー」
「……でしょうね」
すぐそばでそれこそ悪気の無い笑顔を見ていると、なんだかこっちが悪いような気がしてきます。
仕方ないのでハンマーを縮めて収めました。
山本武、なぜだかとっても嬉しそう。わあいい笑顔ですね本当に、と私が棒読みで呟けば、
「そうか?俺は唯斗の笑顔の方が好きだけどなー」
ハイいい子いい子、と私の頭を撫でる山本武。
突然の事にきょとんと目をしばたかせていると、山本はそのまま私の額にこつん、と自分の額をぶつけてきました。
「…は、なんですか」
「え、なんかしたくなったから」
ほら笑えよ唯斗ー、とこっちの額にぐりぐり額を押し付ける彼。加減してるのか痛くはないですが、うっとうしいです。先ほど収めたハンマーを再び振るいたい気分になってきました。
「離れてください、そんな事で私は笑いやしませんよ」
ぐい、と肩を押し返せば、ざんねんだなー、と彼は笑って離れました。
全く、無駄にスキンシップの多い男です。
「野球バカ、何してんだ!」
「えー、だって獄寺が怒らせるからさー」
「怒ってないですよ、獄寺なんぞにいちいち怒っていたら身が持ちません」
「てめぇっ!」
「落ち着いて獄寺君!ていうか天原さんも何気に楽しんでるよね?!」
「バレましたか。さすがは超直感」
「いや直感関係なしにわかるよ?!」
獄寺君遊ばれてるんだから落ち着いて!となだめるツナに、すみません10代目、と謝り出す獄寺隼人。この光景に見慣れてきてしまった私が恐ろしいですね。まあ委員長の咬み殺し場面よりマシですが。
「…ていうか、獄寺君と天原さんって、そんなに仲良かったっけ?」
ふと、という感じで首をかしげた綱吉に、私はああ、と口を開きました。
「まあ、一緒に帰った仲ですしね」
なんということもなく答えたのですが、なぜか再びそろって同時にむせ返る3人組。
「…は?!え、一緒に帰ったって?!」
「俺そんな話聞いてないのな」
「家にも行きましたよ。意外と広かったです」
「ちょっ、おまっ、なっ…!」
なぜか赤くなり慌てている獄寺隼人。
どうしたんでしょう。珍しく焦っている顔は面白いですけど。
「どうしたんです、何か問題でも?」
「問題大有りだよ!」
ていうか問題しかないよ?!と叫ぶ沢田綱吉に、ちょっとその話詳しく、と袖を引っ張る山本武。
えっちょっとなんですか、なんで2人ともそんなに興味大なんですか。
気づけば時間が過ぎており、私は慌てて教室へ飛び込むというここ数年で久しぶりの体験をしました。ふう危ない。
副風紀委員長が遅刻だなんてとんでもないですからね、間に合って良かった良かった。
そうそう、雨の日に一緒に帰って獄寺の家でタオル借りたんですよ、と詳細を話せば、綱吉と山本が「そういうこと…」と脱力していました。
一体何を期待してたんですかね。