貴方と私の風紀な日々 | ナノ
変わらない貴方と

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暴君+10のアナザーエピソード



「お帰り、唯斗」
「…ただいま、とは言いませんからね」
「あれ、怒ってる?」
「あ、あなたと言う人は…怒ってるに決まってるじゃないですか、子ども相手に何してるんです」
「元はと言えば、僕の機嫌を損ねたまま唯斗が入れ替わるからだよ」
「不可抗力ですよ…まったく、私はとっても良心的に10年前の恭弥と会話してきたのに…」
「それで良かったよ。10年前の僕でも、君が妙な事をしてきたら襲ってるところだった」
「10も年下のガキに襲われなどしますか」
「何か言ったかい?」
「いえなにも」

「…あの頃の僕はまだ幼かったね」
「それは私もですね」
「唯斗は可愛かったよ、小さくて」
「…それバカにしてます?」
「だからうっかり手を出しちゃったんだけれど」
「何がうっかりですかこの大暴君色欲魔」
「何か言った?」
「いえなにも」

「…で、話の続き覚えてる?」
「…あー、過去に飛ぶ前の話、ですよね?」
「そうそう、君が六道骸と2人で買い物に行った件について」
「…だからそれは綱吉からの頼まれごとだって言ってるじゃないですか!なんで信じてくれないんですかこの大暴君!」
「信じたじゃないか、現に綱吉もそう証言したしね。あと語尾が余分だよ、唯斗」
「あっとうっかり滑らかな口が。て、絶対信じてませんよね、顔がめちゃくちゃ不機嫌そのものですよ恭弥」
「信じてるよ。ただ気に食わないだけだ」
「何がです」
「いくら頼まれごとでも、君が六道骸と2人で出かけたことが」
「……私に、どうしろと?」
「そうだね、……僕の機嫌をきっちり取ってもらおうか」
「はい待って下さい恭弥、嫌な予感しかしませんよ私明日早朝から出張なんですけど?」
「知らない」
「…この大暴君が」
「逃げられると思ったの?」

にやり、私の手首をソファに押し付け笑う彼の顔は、
10年前と同じ、けれど10年前とは違う、
所謂大人の色気に満ちていた。





「10年前だろうと10年後だろうと同じだよ。…唯斗は、僕の物だ」



「…人を所有物みたいに言わないでくれます」

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