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第零話

六月の良く晴れた日。

さくらニュータウンに唯一ある

小さな教会での出来事。

「新郎天野ケータ

あなたはここにいる木霊フミカを

病める時も 健やかなる時も

富める時も 貧しき時も

妻として愛し 敬い

慈しむ事を誓いますか?」

「はい、誓います」

大人になったケータは

きっぱりと言った。

それをジバニャン達は見守っている。

ケータは大人になって

妖怪の姿が見えなくなった。

それでもジバニャン達…ケータの友達妖怪は

結婚式を見守りたかった。

それはエンマ大王もぬらりひょんも

そして未来も同じ気持ちだった。

式は滞りなく進み

ケータ達は教会を出た。

「幸せそうだね」

「ああ、そうだな」

未来がぽつりと言い

ぬらりひょんはうなずいた。

「未来!ぬらり!

他の者も注目してくれ!」

するとおもむろにエンマ大王は

大きな声を出した。

「どうしたニャン?エンマ大王」

「なにやら真剣ですね」

「お前達に新しい力を授ける。

本来の力を十分に発揮できる

シャドウサイドだ!」

不思議そうなジバニャンとウイスパーに

エンマ大王は説明すると両手を広げた。

するとエンマ大王の体は光り

その光が世界中に広がっていく。

そして力が収まると

「こ、これは!」

「体が大きくなったニャン」

「あなたなんか声まで変わってますよ?」

ウイスパーとジバニャンが驚く。

「どうだ?気に入ったか?」

エンマ大王は得意げだ。

「私達はなぜ変わらないのでしょうか?」

「そうですよ、エンマ大王」

しかしぬらりひょんは

着物が少し変わっただけだった。

巫女姿の未来に至っては

なにも変わらない。

「お前らは十分強いからいいんだよ。

それより妖怪ウォッチは全て破棄する!」

「なんと!」

声を出したウイスパーだけではなく

その場にいた妖怪全員がもう一度驚いた。

「大王様、なぜですか?」

「あれだけ人間と仲良くしたがっていたのに…」

ぬらりひょんと未来は慌てた。

「見えなくなっちまったら

悲しいだけだろう?」

エンマ大王は記念撮影をしている

ケータとフミカを見つめた。

とても悲しそうな瞳で。


to be continued

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