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第六話「初めての休日」

アークに就職して二度目の週末が来た。

昨日土曜日は家でゆっくり過ごしたけど

さすがに二日も家にいるのは

不健康なので出かけることにした。

私は普段着で、なんとなく近所を歩くことにした。

やって来たのは、職場の近くの公園。

前を通り過ぎて

素敵だな〜と思ってたけど

忙しくて行けなかったから。

私はしばらく噴水をぼんやりと見ていた。

そして特にすることもないから公園を出ようと思った。

「あれ?」

「富田さん?」

「え?」

公園の入り口で声をかけられて振り返ると

エンマ社長とぬらりひょん部長だった。

二人共私服で

エンマ社長は赤いTシャツにジーパン。

ぬらりひょん部長は

真っ白いシャツに黒いズボンだった。

二人らしい服だな、なんて思う。

「二人共どうしてこちらに?」

「アークは年中無休だからな!

様子を見て、ついでにぬらりと

出かけようってことになったんだ」

「そうなんですね」

エンマ社長の説明に私は納得した。

なんだか休日も二人に会えてとても嬉しい。

「でも休日まで一緒なんて

仲良しなんですね!」

「そうだな。

社長とはずっと一緒にやってきたからな」

ぬらりひょん部長は私にうなずいた。

「そうだ!

未来も一緒にどうだ?

これから駄菓子屋に行くんだ!」

「駄菓子屋ですか?」

エンマ社長から意外な言葉を聞いた。

駄菓子やおもちゃ…

エンマ社長は少年の心を持っているんだなと

素敵だなと思った。

「ああ!きな粉飴が食いたくてよ」

「付き合う私の身にもなってくださいよ」

ぬらりひょん部長はため息をついたけど

本当に嫌そうではなかった。

「あ、じゃあ…」

私が言いかけるとスマホの着信音が鳴った。

慌てて見ると親友のシホからだった。

「出ろよ」

エンマ社長が優しく言って

「…はい」

私は仕方なく電話に出た。

すると

「じゃあな、未来」

「また明日」

二人の声が遠くなってしまった。

なんだか気を遣わせてしまったかな?と

シホと話してから思ったけれど

また今度会えたら一緒に駄菓子屋行きたいな

なんて私は思うのだった。


to be continued

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