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第四話「言えない理由」

未来の家の近くのスーパー。

「あ!」

未来とハルヤは偶然すれ違った。

未来は買い物が終わって帰るところ

ハルヤはお弁当を買おうと

スーパーに入るところだった。

「結構買ったんだね」

「買いだめしたかったから」

ハルヤはいつものように笑みを浮かべて

手を未来の方へ差し出した。

「ハルヤくん?」

「持ってあげる」

「でも…」

大根とかジュースとかで

正直未来の荷物は重かった。

でもあまり知らない人に

持ってもらうのは

気が引ける未来だった。

「気にしないで。

俺が持ちたいと思ったからだし」

ハルヤは半ば強引に

未来の荷物を持った。


「…ねえ、ハルヤくん」

「なに?」

エレベーターの中で二人きり。

未来は思い切って

聞いてみることにした。

「どうして一緒にいてくれるの?」

考えてみたら出会って四日目だが

ハルヤといる時間は

なんだかんだ言って長い。

「そんなことか…そうだな…」

ハルヤは少し考えて

「秘密」

と答えた。

「え?」

「そのうち教えてあげるよ」

エレベーターが未来達の住んでいる階について

歩きながらハルヤは言った。

(俺もなんでお前が気になるか

分からないんだよ)

そう思ったのは

もちろん未来は知らない。


to be continued

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