第四話


「じゃあ、とりあえず山姥を…」

未来が言いかけた時だった。

「ぐああああああ!!」

けたたましい音とうめき声と共に

山姥が現れた。

「あ!

臼田さんのおはぎが…」

山姥の弱点かもしれないおはぎは

床に投げ飛ばされた。

未来は取り返そうとするが

「未来!今は逃げるぞ!」

イツキに止められ部屋を出た。

イツキを先頭に走ったが

逃げ遅れかけたシンは

タエに引っ張られ

あちこちをぶつけた。

あっという間に未来達は

ドアも窓もない部屋に

追い込まれてしまった。

「もうダメ!

逃げきれないよ」

「立て!最後まで投げんな」

座り込んでしまったタエに

イツキが叫んだ。

「タエ!」

更に未来がタエの肩に手を振れると

タエの体が淡く光った。

「え?」

「私、やってみる!」

光がおさまったタエは

山姥に対峙する。

「妖 烈 滅 却!

風の刃!」

タエの攻撃は山姥を怯ませた様に見えたが

「ダメ!効いてない」

山姥は再び襲いかかろうとしていた。

しかしシンの守護霊らしき妖怪が

シンにおはぎを持ってきた。

シンはおはぎを山姥にぶつける。

「未来!これ!」

タエは未来にある物を渡した。

それはお札だった。

「どうして、私に?」

「いいから、山姥に!」

「未来!」

タエとイツキに促され

「わかった!」

未来はお札を山姥に貼り付けようとした。

しかし山姥が暴れてうまくいかない。

「ちっ!俺も手伝うか!」

お札がある未来の左手を

イツキは掴み

山姥にぶつけた。

「ああああああああああ!!」

山姥は悲鳴を上げて倒れた。

山姥は消えてしまい

そこにいたのは

気を失ったタエのおばあちゃんと

小さな妖怪だった。

「止まるんだ」

「待ちなさい!」

逃げようとする妖怪にシンが声で制し

未来は妖怪の服を掴んだ。

「へへへへ」

しかし妖怪はぎこちなく笑い

手を振った。

(かわいいかも)

未来も掴んだ手を離し

つられて手を振る。

「タエ。

さっきの妖術でとどめを刺すんだ」

イツキは容赦がない。

「イツキ。

憎んでばかりじゃダメだよ」

しかしシンは止めようとした。

結局小さな妖怪は

口論の隙に逃げてしまった。

「知らねえぞ。

あいつがまた他の所で

人を苦しめてもよ」

イツキは少しシンを責めたが

「イツキ。

実はホッとしているんじゃない?」

「なっ…!」

未来の指摘には何も言えなかった。


to be continued







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