第零話


良く晴れた冬の日曜日。

未来は高城邸に遊びに来た。

「よお、未来」

「おじゃまします」

一番最初に出迎えたのはイツキだった。

未来はイツキの姉サチの同級生だったが

イツキとも仲が良かった。

イツキが心を許している

数少ない人の一人だ。

「あら、未来。

来ていたのね」

姉のサチも部屋から出て

玄関まで未来を迎えに来た。

「うん、今来たところだよ。

あ!そうだ!

二人にクッキー焼いたんだ」

「お前、料理はうまいもんな」

「イツキ、失礼でしょ」

イツキのからかいにサチは慌てたが

「あはは、本当のことだからさ」

未来は気にしない。

「それより見て!

今日は動物のクッキーだよ」

「あら、かわいい!」

未来はすぐにクッキーを見せたくて

包みを玄関で広げた。

しかし悲劇はそこから始まった。

「うっ!」

サチが急に苦しそうにうずくまった。

「サチ?」

「姉ちゃん?」

未来とイツキは心配そうにサチを見たが

「ぐああああああ!!」

サチはいきなり叫び

屋敷を出て行こうとした。

「きゃあ!」

サチの体が未来に激突し

クッキーがバラバラと床に落ちた。


to be continued







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