第七話「宝珠」


「エンマ…!」

毒を飲んだエンマ大王は倒れ

未来は泣くことしかできなかった。

ポロポロと未来の涙が

エンマ大王に降りかかる。

「泣かないで、少女よ」

しかし優しい女性の声が聞こえた。

「誰?!」

未来が驚くと

羽衣を着た女性が舞い降りてきた。

「私はお松。

エンマ大王は私が助けましょう」

お松と名乗った女性は扇を動かし

エンマ大王は光に包まれた。

「う…!」

すぐにエンマ大王は目を覚まし

不思議そうな顔で起き上がった。

「エンマ!よかった…」

「未来…

俺は確か毒を飲んで…」

「すみません。

毒は私が用意したものです」

お松は申し訳なさそうに教えた。

「え?!」

「なんだって?!」

当然二人は驚いた。

「二人に本当の愛があるのか

試したかったのです。

そうでなければこの宝珠は

扱えませんから」

お松の手には赤い宝珠があった。

「エンマ大王

あなたが守りたいのは

この世界ですか?未来ですか?」

「…俺はどちらも守りたいし

守ってみせる!」

エンマ大王はきっぱりと言った。

「ではあなたは?未来」

お松が未来を見た。

「私もエンマと同じです。

私を愛してくれたエンマも

私を受け入れてくれたこの世界も

助けたいです。

そのために宝珠をください」

「いいでしょう」

にっこりとお松は笑った。

そして宝珠をエンマ大王に手渡した。

「これは…力がみなぎってくる」

握りこぶしくらいの真っ赤な宝珠を見て

エンマ大王がつぶやいた。

「エンマ!行こう!」

「そうだな。

ひと暴れするか!」

二人は歩き始め

「ご武運を。そして幸運を」

お松がそれを見守った。


to be continued







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