第五話「拉致」


目が覚めると未来は暗闇の中にいた。

(え?

馬車の中で寝てたのに…)

体も重くて動かせない。

「エンマ…」

愛しい夫の名を呼んだ時だった。

「気がついたようだな」

すぐ近くで不気味な声がした。

未来の目が暗闇に慣れてくると

「あなたたちは…怪魔?!」

未来はエンマ大王の妻になって

たくさん妖怪のことを勉強した。

悪しき妖怪のことも学び

その中に怪魔がいた。

「私をどうするの?」

「お前がいなければ

エンマは宝珠を手に入れられない」

「お前には死んでもらう」

一番大きな怪魔と

その横にいた怪魔がそう言った時だった。

「そうはさせないぜ!」

エンマ大王がいきおいよく

部屋の扉を開いた。

エンマ大王の後ろにはぬらりひょんもいた。

光に照らされた二人は

とても頼もしくて

未来は泣きそうになった。

「お前ら!

弱い方の未来を誘拐するなんて

やり方が汚ねーんだよ」

そう言いながらエンマ大王は

エンマブレードで怪魔を切り裂いた。

ぬらりひょんもエンマ大王からもらった

新しい杖で光線を出し

怪魔を一つ一つ焼き尽くしていく。

気がついたら怪魔はもういなく

「エンマ…」

「怖い想いをしたな。

すまなかった」

未来とエンマ大王は抱きあった。

「大王様、そろそろ外へ」

ぬらりひょんが咳払いをした。

「ああ!行くぞ、未来」

「でも…」

未来の足は震えていて

すぐには立てなかった。

「しょうがねえな」

エンマ大王は笑顔で未来を抱き上げた。

「走るぞ!」

そのまま走り出すエンマ大王とぬらりひょん。

そんな時なのにお姫様抱っこをされて

未来はドキドキした。


to be continued







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