第九話「ただいまのキス」


「ぬらり!」

昨日夫を見送った場所で

未来は大きく手を振った。

ぬらりも少し照れながら手を振る。

「二人共、嬉しそうだな」

そう言いながらエンマ大王は

未来の目の前に立った。

「エンマ大王もお疲れ様でした」

「いやー、大変だったぜ。

ぬらりが未来に会いたい会いたいと…」

ニヤニヤとエンマ大王は笑ったが

「大王様!

そのようなことは一言も…」

ぬらりは慌てた。

「嘘だよ」

しかしエンマ大王は悪びれなかった。

「エンマ大王が嘘って…」

「いいじゃねーか。

そんな顔はしてたしな。

さて!

俺達は大臣に報告があるから

ぬらりはもうしばらく

かりるぞ、未来」

エンマ大王は再び歩き出し

ぬらりもついて行った。

未来は少しだけさびしさを感じた。


ぬらりが帰宅したのは夜中だった。

「おかえりなさい、ぬらり」

「未来?起きてたのか?」

明かりをつけて出迎えた未来に

ぬらりは驚いた。

「うん…だって…」

未来は照れて

ぬらりから視線を外したが

「ただいま、未来」

未来の気持ちが分かったぬらりは

優しいキスをした。



to be continued







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