第五話「喧嘩」


「ぬらりのバカ!」

「ば、バカ?!」

未来はぬらりの部屋から飛び出した。


「はあ」

裏庭に来て

未来はため息をついた。

「言い過ぎた、かな?」

だが、未来は

ぬらりの顔を見れずにいた。

「こんなところで、どうしたんだ?」

膝を抱えてうつむいている未来の肩に

手を置いたのはエンマ大王だった。

「エンマ大王…」

「なんだよそんな顔して。

あいつと喧嘩でもしたか?」

未来は黙ってうなずいた。


「なるほど、そんなことがあったのか」

「はい」

未来は喧嘩したいきさつを

エンマ大王に話した。

「私も悪かったかもしれないんですけど」

未来は話しているうちに

涙が出てききた。

「泣くなよ」

エンマ大王は優しく

未来の頭に手を置いた。

「なぁ、未来…」

「はい?」

「今からでも遅くないぜ。

俺に乗り換えるか?」

エンマ大王は本気でそう言った。

「俺なら未来を泣かせたりしない」

エンマ大王の真剣な表情を

未来はしばらく見つめた。

「…エンマ大王、でも…」

「でも、ぬらりが好きか」

「はい」

未来は頷いた。

「なら、とっとと仲直りしてこいよ!」

エンマ大王は笑顔になると

未来の背中をたたいた。


未来はぬらりがいるところへ走った。

「ぬらり!」

「未来…」

ぬらりは少し驚いたような顔をしていた。

「さっきはごめんなさい」

「いや…」

そこまで言って、ぬらりは

未来を抱きしめた。

「未来、すまなかった」

「ううん、私こそごめんなさい」

お互いに謝ると、ぬらりは腕を解き

未来の額に仲直りの合図のように

唇をつけた。

「仲直りだね」

「ああ」

お互いに笑って

二人は初めての喧嘩を解決した。


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