第三話「好きな人」


「春日〜こっち、終わったよ」

未来は掃除を終えて

春日に報告した。

「未来様、お疲れ様でした。

少し休憩しましょう。

お茶を入れます」

春日は未来に微笑んだ。


「美味しい」

未来は紅茶を飲んでつぶやいた。

「未来様は頑張り屋さんですからね。

お疲れでしょう」

春日も、ふふふと笑った。

春日の手伝いをするようになり

二人は友達のように仲良くなった。

もうエンマ大王の婚約者では

なくなったし

未来は様付けをやめるよう

言ったが

それはダメだと断られた。

「そう言えば

ぬらりひょん議長とは

うまくいってますか?」

「え?」

いきなりぬらりの名前がでで

未来は驚いた。

「あはは、なんていうか…うーん」

未来は恥ずかしいから

笑って誤魔化そうとしたが

「その様子では順調なんですね」

と言われてしまった。

「う、うん!」

未来は仕方なく肯定した。

「ところでさ」

仕返しとばかりに未来は身を乗り出した。

「春日は好きな人とかいるの?」

ガチャン!

未来が尋ねると

春日は明らかにうろたえて

ティーカップを音を立てて置いた。

「春日?」

「わ、私…

好きな人なんか、いません!」

慌てて春日はそう言ったが

それは明らかに

好きな人がいる反応だと

未来は思った。

(でも追求しない方がいいよね)

悪いこときいちゃったな、と

未来は反省した。

「さ、さあ!

お仕事しましょうね」

春日は急いで

あいたティーカップを片づけた。


(疲れた後のお風呂て最高だな〜)

未来は親父くさいことを考えながら

お風呂から自室までの廊下を

歩いていた。

すると、遠くに

エンマ大王と春日がいた。

「ありがとな、春日。

助かるぜ」

「とんでもございません。

ですが、お役に立てたなら嬉しいです」

未来は慌てて物陰に隠れた。

なんとなく、二人の雰囲気を

壊したくなかったから。

「本当に春日は仕事が早いよな。

これからも、頼むぜ!」

「は、はい!」

そんな様子を見て

未来は驚いた。

あんな嬉しそうな春日

初めて見たのだ。

(まさか、春日の好きな人って…)

未来の鼓動が高鳴った。


to be continued







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