第二話A


「フユニャンと一緒に

妖魔界へ行きたいな。

エンマ大王とぬらりひょんが

どうなったか見たいし」

「ああ、一緒に行こう」

フユニャンはそう言って

飛ぼうとしたが

「ちょっと待って、フユニャン」

未来にマントをつかまれた。

「なんだ、未来。

このマントは特注なのだぞ」

「そうなの?

…ってそうじゃなくて!

私は飛べないから

うんがい鏡で行こうよ」

そう言って未来は

いつも妖魔界へ遊びにいく時のように

うんがい鏡を召喚した。


「エンマ大王!って!えー!!」

妖魔界へ到着してすぐに

未来はエンマ大王の部屋に入ったが

そこには鏡を見つめる

エンマ大王とぬらりひょんがいた。

「これはまるで激辛溶岩レッドの

スープカレーに

地獄のファイヤーキムチを

投入し、その上に

濃縮トムヤムクンを注いだような状態だ」

まだ鏡を見ながらそう言った

「全然わからないし」

未来があきれた。

「そんなことより未来も今までの世界より

綺麗になってるではないか」

ぬらりひょんは未来の肩に触れた。

「え?!」

「そうだな。俺とお似合いだ」

そしてエンマ大王も未来に詰め寄る。

「いや…その…」

「お二人共!

そんなことを言ってる場合ではありません!」

フユニャンは困った未来を助けた。

しかし

「エンマ〜エンマ〜♪」

どこからか歌声が聞こえた。

するとエンマ大王とぬらりひょんは

踊りだすではないか。

「ふ、二人共!どうしたのですか?」

「この歌、どこから聞こえてくるの?!」

当然フユニャンと未来は驚く。

「いや、体が勝手に…」

「我々の美しさが

爆発しようとしているんです」

「いや、それは違うと思う」

未来は踊り続ける二人を

見守るしかなかった。


「どうやら強い心の力を持った人間に

闇が憑りついてしまったようだな」

気を取り直してエンマ大王に

今の状況を見てもらった。

「ぬらり、あれを持て!」

「はっ!リンゴ飴ですね?」

「ち、違う!」

ぬらりひょんのとぼけた発言に

エンマ大王は焦った。

「冗談ですよ」

そう言ってぬらりひょんは

何かを取りに部屋を出た。

「リンゴ飴…」

「ぬらりひょんって

意外とおもしろいよね〜」

「ははは!確かにな」

三人が笑いあっていると

「「意外と」とは心外だ、未来」

ぬらりひょんが帰ってきた。

手には赤い包みを持っている。

「これは…」

「その名もエンマブレードだ。

イカすネーミングだろ?」

エンマ大王は自信があった。

しかし

「確かに安易ですがイカしております」

「フユニャン…社交辞令はやめときな」

未来はフユニャンに

正直な感想を言った。

「なんだと?!…っ!」

少しショックを受けたエンマ大王だったが

「ぬらり!俺を乗せるな!」

次の瞬間、再び踊りだしてしまった。

「あはは!楽しい!」

今度は未来も踊ってみた。

「と、とりあえず!

このエンマブレードはお預かりします。

ほら!未来!行くぞ!!」

フユニャンはエンマブレードを持った。

「あー待て待て。

未来はここで俺達と踊っていればいい」

「そうですね。

いつも以上に美しい未来と

まだ一緒にいたいです」

「いや…世界の危機だし」

未来はため息をついた。



三話へ続く







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