第十話


「ぬらりひょん議長って

どんな妖怪なんだろうね」

駅へ歩きながら、未来はつぶやいた。

「わからないズラ〜緊張するズラ〜」

さっきまでの威厳はどこへ行ったのか

コマさんは不安な顔をしていた。

「戦わなくちゃいけないのも、覚悟しないとね」

「そ、それはよくないズラ!」

未来の言葉に、コマさんは慌てた。

「きっと話せばわかってくれるズラ!

コマ次郎が用意してくれたコレも

使わずに済むズラ!」

コマさんは背負ったロケット弾を指さした。

「そうだといいのだけれど…」

未来はため息をついた。

駅までの道のりが

二人にはすごく遠くに感じた。


駅を乗り継いだのはいいのだが

「電車、まだ来ないね」

「そうズラね、困ったズラ」

未来とコマさんは焦り始めていた。

山手線で信号トラブルがあり

約束の時間までに着けそうになかった。

「コマさん、昨日使ったお札は?

妖魔界の違う線路なら

行けるんじゃないかな?」

「だめズラ。方向が違うズラ」

コマさんは残念そうに首を振った。

「そっか…」

「あ、そうズラ!

遅延証明書、もらってくるズラ」

コマさんは改札へ向かおうとしていた。

「え、なんで?」

「電車の遅延と言えば遅延証明書ズラ!

未来の分も、もらってきてあげるズラ」

「いやいや、必要ないから」

未来は真面目なコマさんを止めた。

はたから見れば、一人で話す変な人だったので

未来は注目を集めてしまった。

そこうしているうちにも

二人が話せる時間は少なくなっていたことを

二人はまだ知らなかった。


to be continued







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