友達?(エンマ大王)


それは未来が妖魔界に

一人で遊びに来た時の出来事だった。

「あ!エンマ大王!」

城下町を歩いていた未来は

町の様子を見に来たエンマ大王を見つけて

嬉しそうに駆け寄った。

「未来!来ていたのか!」

エンマ大王もそんな未来に

とびきりの笑顔を見せた。

大好きな笑顔に未来は

もっと嬉しくなる。

「あれ?エンマ大王、彼女ですか?」

「え?人間なのに?!」

そんな二人を見て

周りにいた妖怪がざわざわし始めた。

「え?ち、違います」

密かにエンマ大王を想っていた未来だったが

必死で否定した。

「そ、そうだぞ。

未来は…友達だ!」

エンマ大王は真っ赤な顔でそう言った。

「え?」

友達という言葉にショックを受けた未来は

その場を逃げるように走って去った。

「あ、未来!」

エンマ大王が声をかけたが

未来は無視をして走った。


未来がたどり着いたのは

小川のほとりだった。

「友達…確かにそうだけど…」

未来はぽろぽろと涙を流した。

「お前…走るの早いな」

そんな未来を追いかけてきたのは

エンマ大王だった。

「エンマ大王…なんで…」

泣き顔を見られたくなくて

未来は小川を見て

エンマ大王から顔をそむけた。

「お前な、あれが本心なわけないだろ?」

しかし泣いているのはエンマ大王にもわかって

エンマ大王は未来を背中から抱きしめた。

「エンマ大王?」

突然の抱擁に未来の鼓動が速くなった。

「お前は友達じゃない。

俺の好きな女だ。

ずっと好きだった、未来」

心を込めてエンマ大王は言った。

「ずっとそう言ってほしかったです」

未来はそう言って

エンマ大王のたくましい腕に

自分の手を添えた。

二人が両想いになった瞬間だった。







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