籠の鳥(臨帝)
拍手小説第一弾
シリアス&キスシーンがありますのでご注意を
捕らわれた一匹の鳥は
羽ばたく事も出来ず、空を見る事さえ出来ず、今日もあの人を待つ。
【籠の鳥】
非日常を好きで
大好きで追いかけていた。
だから僕は池袋に出て驚いた。こんなに非日常が溢れた場所があったんだと…
けれど、あの人は…
僕を籠へと導いたあの人は今も何を考えているのかが僕には理解出来そうに無い
「帝人君、気分はどうかな?」
「寝起きから貴方の顔を見るなんて最悪な気分です。」
「そう、それは良かった。」
暗い部屋に電気が点きまだ寝ぼけ半分で帝人は声の方を向き毒を吐くが、全く臨也には効き目が無く、逆に嬉しそうに笑う臨也に帝人は眉を寄せた。
「全く理解しかねます。」
「何が?」
「何もかもです。貴方が僕と正臣を別れさせた理由とか、青葉君に貴方がした事とか、何故僕を監禁してるのかとか…何でそんな顔をしているのかとか貴方は意味が分かりません。」
ジャラと足首に付いた二つの鎖が動き、音を鳴らす。それに嫌な顔をする帝人と、幸福そうな顔をする臨也。二人は全く正反対の顔をして、お互い目を背ける事をせずに見つめ合う。
「分からなくて良いよ。君はそのままでいてくれないと面白くも何ともない。」
「それは、面白くなくなったら、人形みたいに大人しくしていれば僕を解放してくれるって事ですか?」
折原臨也にとってきっと帝人は羽を奪われた飛べない哀れな鳥だ。それでも強がって抗う籠の鳥。
そんな鳥に甘い果樹を与えてから、臨也は地獄に落とすのだ。
「俺が君の事を手放すと思ってるなら考えを変えさせてあげるよ」
「…そう言うと思いました。で、今日は何をすれば空を見させてくれますか?」
「そだね…帝人君からキスをしてくれるなら、何でも教えるよ。」
空は帝人にとっては情報の事を表す。ダラーズを守り、正しく戻す為の情報。
それを帝人はそれくらいなら安いものだと言う様に臨也の頬を撫でて、口付けをした。
「ふっ…ん…」
何もしない臨也に帝人は唇を舌でなぞり、口が開いた所でキスを深いものへと変えた。
「はっ…っ…」
「ごちそうさま。」
長く続いた口付けに臨也は満足したのかペロリと唇を舐めて息が荒い帝人にこれが情報と、折り畳まれた小さな紙を帝人は受け取り目を通せば、新しく紙を取り出し紙に何かを書き込むと臨也に渡す。
それを当たり前の様に受け取った臨也はポケットへとその紙を折り畳んで放り込む。
「臨也さん。籠の鳥は最後にどんな行動すると思います?」
「逃げるとか在り来たのじゃないよね?」
「勿論違います。」
ニッコリと笑う帝人に臨也は嫌な予感が頭をよぎった。
「俺の前で死ぬ気?」
「違います。僕は死ぬ気なんてありませんし、何で貴方の前で死なないといけないんですか。」
全く持って心外です。と言う様につらつらと言う帝人に臨也は苦笑いを漏らす。
「飽きれば良いのに」
飽きてくれれば解放されるだろうと帝人は思って言った言葉だったが後ろから臨也に抱き締められ、離さないとでも言う様に回された腕に力が籠もる。
「一生飼い殺ししてあげる」
「バカ」
そんな怖い言葉が帝人には甘く響きほんのり赤くなった顔を誤魔化す様に毒を吐き出した。
甘い甘い果樹に誘われた籠の鳥は何時でも出る事の出来る穴を見つけました。
けれど、その鳥は甘い果樹をくれるあの人に惹かれてしまい、あの人の悲しい顔はさせたくないと思うのです。
あの人の幸せが自分なら、残ろうと…
思いは告げず残ろうと
そして、今日もまたあの人に空を見させてもらうのです。
-END-
拍手ありがとうございます!
このサイトをイメージした小説だったのですがお楽しみいただけましたでしょうか?
初の拍手だったのでどんな小説書いたら良いか分からず暗い小説なってしまいましたが、ぼちぼちと甘くしたりとやっていけたらと思います。
では、改めて拍手ありがとうございました!
2010.10.17 完成
2011.1.21 移動
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