里を渡る舞姫
今回の依頼の居場所は火の国、木の葉
"薬"を売りさばいている裏商人の皆殺し
"薬"の排除
が今回の依頼
相変わらず面白くも何ともないそんな依頼
だが、そんな依頼でもやらなきゃ面倒だ
「はぁ…」
「蒼火(そうか)様」
ため息をついた蒼火と呼ばれた女にも男にも見える中性的な顔立ちをした派手な朱い鳥の刺繍をしてある着物を肩に羽織り、青い髪を持つ人物は紅い瞳を名前を読んだ元へ向けた
「木の葉の黒燈(こくひ)、依頼に変更ですか?」
鹿の面をする黒燈と呼ばれた暗部服を着た黒瞳に同じ黒髪を持つ青年は蒼火の前で膝を折り跪いた
「はい、依頼の達成を共にしろと火影からの命令です」
「綱手姫が…」
少し考える様に黙った蒼火に黒燈は黙って言葉を待つ
「…分かりました。黒燈は自分の身だけ守っていてください」
「貴方の邪魔はしませんので」
「なら、いいんですけれど」
意味有りげに笑って見せた蒼火は顔を面で隠すこともせず目的地に向かい走り始めた
「蒼火様?」
「黙っていてください」
目的地に着く前に足を止めた蒼火に不思議そうに声をかけた黒燈に静かにしていろと言う様に睨む蒼火は印を組みその場に二人を囲むだけの結界をはったその瞬間周りに炎が舞い上がった
「なっ!」
「情報が漏れてたみたいですね」
冷静に炎が来た方を向いた蒼火は結界を解くと一気に敵との距離を詰め、風のチャクラを纏ったクナイを急所を狙って放ちながら次の攻撃をかける
敵を仕留めていく姿はまるで舞っている様で敵は為すすべもなく地面に倒れていく。その姿に蒼火の二つ名を思い出した黒燈は納得したようにその二つ名を呟き向かってくる敵をなぎ払った
「舞姫だと!?何故木の葉に!」
そう、舞姫それこそが蒼火の二つ名
恐れられる里を渡る舞姫。何にも縛られず、里を渡り、気に入ったものの依頼しか受けることがない変わり者
「今は木の葉の見方ですから」
ふっと笑った蒼火は容赦なく刀を敵に突き刺した
敵を一掃した二人は依頼だった薬を屍と一緒に燃やした
蒼火は燃え尽きるのを見終わると黒燈に目を向けた
「依頼終了です。綱手姫には報告に行けば良いのでしょうか?」
「いや、こっちで報告するので」
「そうですか…では、私はこれで」
印を組んだ瞬間影分身を消した時の様に消え姿を消した蒼火に黒燈は何も言葉をかけることができず悔しそうに声を漏らした
舞姫が現れてもう10年が経つ
どこの出身かも、何歳かも、性別も何もかも不明な蒼火はいつの間にか現れて消える
それは幻の様に…
捕まえたと思ったらいなくなるその存在を
「今度は捕まえてみせる」
今は子供でも、力が無いわけでもない。暗部総隊長を任される地位に付く
それでも蒼火に依頼が行くのはまだ暗部総隊長に任命されて2ヶ月程しかない黒燈にとってはまだ実力が足りないと言われているに等しい事だった
「あいつは昔も今も変わらないな」
最強の座に君臨し続ける
それは決して良いものではなくても蒼火は国同士の争いに関わり、例え前仲間になった者でもあっさりと切り捨てる
冷酷非道とも言われるがその冷酷非道な蒼火に一度だけ命を救われた
例え蒼火がその事を忘れていようが助けられた恩はしっかりと返してやる
あいつの居場所を作ることが俺にできる唯一なことだから
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始まりました長編作品!
ギャグも交えながら時にはシリアスに書いて行ければと思っています。
2013.12.10 完成
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