共に生きる



月光に照らされ

翔ける二つの影は

木の葉最強の暗部。

その二人は暗部総隊長の蒼舞と総副隊長の黒月。

二人はお互いを知り、信じ合っている。

だが、蒼舞は黒月の表の姿を知っていても、

黒月は蒼舞の表の姿を知らない。


「蒼舞さん。」
「さんはいらないと言った筈だ。」

任務が終わりさて帰るかと蒼舞が一息を付いた時。蒼舞は黒月に呼ばれたが、蒼舞はさん付けを何故か嫌い、黒月に訂正をする。

「じゃあ、蒼舞は何故俺を側に置くんですか?」
「……さぁね。」

ごまかしてその場から去ろうとする蒼舞の手を黒月は掴み、逃げれない様に後ろから抱き締めた時、ドンッと言う爆音が聞こえた。
それは帰ろうとしていた木の葉の方角。
二人は面の下で目を見開き木の葉の方角へと向き、蒼舞は素早く印を組むと消えた。
その時、じっちゃん…と消えそうな声で蒼舞が呟いたのを黒月は聞き逃さなかった。
手の中からなくなった蒼舞の体温が少し残っていて、黒月はフッと笑った。

「何やってんだ俺…あぁ、めんどくせぇー!」

ガシガシと頭をかいた黒月は蒼舞みたいな時空間忍術を使えないので急いで木の葉に向って走った。





「じっちゃん大丈夫!?」
「な、ナルト!いきなり入って来るなと何度言えば…」
「だって、爆音がしたから心配で!怪我とかしてない?」

何の前触れもなく現われた蒼舞ことナルトは面を外し、四代目火影の前まで駆け寄り、ペタペタと身体中を触るナルトに火影ははぁ〜と溜め息を付き、落ち着けとナルトの額にデコピンを食らわす。

「痛!なにするんですか!」
「落ち着けと言っただけでは落ち着かんと思ってなぁ。」
「言葉で言えば分かります!」

いつもと変わらない火影にホッとしながらいつもの様に文句を言うナルトはあのドベ忍者とは思えないほど口が回る。

「あの爆発はな…」
「火影様、一体あれは!」

話しを進めようとした時、バンッとドアを開けられ、結界を張るのを忘れていたナルトはあっと声を漏らす。
その声に入って来た黒月は驚いた様に目を見開いた。
ナルトの姿は蒼舞のままだが、目の色は透き通る様に碧く、頬には三本の線。

「ナル…ト?」

黒月から出た名前に蒼舞ことナルトはピシャリと固まった。
それを見た黒月は分かりやすい奴と心の中で呟き、火影に目を向けるとはぁと溜め息を付いていた。

「な…なんでそう思う?」

はぁ…と息を吐き、少しは冷静になれたナルトは黒月に問い掛ける。

「髪の色は赤でも、瞳と頬の線がナルトのものに見えたからだ。」
「流石は木の葉一の頭脳を持つ者…か。」

近付いてくる気配にスーと目を細くしたナルトは素早く複雑な印を組み結界を張り、黒月の前に行くと解!と黒月の変化と共に自分の変化を解いた。
今まで大人の姿をしていた蒼舞と黒月は変化が解け、蒼舞はナルト、黒月はシカマルへと子供の姿に戻った。
だが、一つ違ったのはナルトの髪は長く、服の上からでも胸がふっくらと膨らんでいること。

「お〜い、シカマル?」

ピシャリと固まったシカマルにナルトは顔の前でヒラヒラ手を振り、背の差から上目使いになる。
好きな人が男だと思っていたシカマルは女だと知り喜びはあったが、上目使いで見られ危うく抱き締めてしまうとこるだった。

「じっちゃん。」
「分かっておる。」

ナルトに呼ばれた火影は何度目か分からない溜め息を吐き、シカマルを呼ぶ。

「黒月、いや奈良シカマルよ。お主はナルトの秘密を知ったのだから、それなりの手段を取らせてもらう。」
「手段…っすか?」

スーと目を細め、真剣な顔をする四代目火影にシカマルも釣られる様に顔つきを変える。
そんな真剣な顔をする二人を冷静に見ていたナルトはそんな真剣になる事?と疑問に思っていた。

「シカマルよ。お主がナルト許婚になる資格を持ったのじゃ。」
「は?」

いきなり言われた言葉に良く回る頭は理解しても、つい聞き返す。

「だから、私達の意志無しで、私の本当の姿を一番に探し出した者が許婚にって勝手に親の間で決まってたんですよ。そして見付けた一番乗りはシカマルだったって事ですね。」

シカマルの疑問に答えたのはナルトだ。
分かりやすい言い方で説明してくれたは良いのだが、全く持って親が決めたと言うのがシカマルは気にいらない。
もし、俺が最初に見付けなかったら。
他の奴が見付けたらナルトは他の野郎と許婚になってたって事かよ?

気にいらねぇ。





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