2.大キライ、また明日





「この姿では初めましてですね火影様」


音もなく火影の目の前に現れた禁忌の狐の面を付け、フードを深く被っている男か女か見分けが付かないその者を見た時、綱手は何故か泣きたくなった


ナルトが行方不明になって一月が立とうとしていたそんな日に現れた暗部に綱手は警戒をしなかったいや、出来なかった


「私の名は颯火。暗部総隊長、三代目の補佐をしていた者です。訳合って暗部は副隊長に任せておりましたがこれにて暗部への復帰をと思い、火影様の許可を貰いに参りました」


颯火と名乗った者はフードと面を外し、身を屈めた

フードを外し見えたのは蒼く腰まであるだろう髪に相変わらず男か女か分からない整った顔

瞳の色は見えないがきっと綺麗な色をしているんだろう


「颯火……“あの”最強の木の葉の忍びと言われる“あの”颯火だね?」

「はっ」


嘘では無いと言う様な返事に綱手はナルトが戻って来た様な気がしていた


「なら、実力見せてもらおうじゃないか」

「火影様の仰せのままに」


顔を上げた颯火の瞳は燃える様な朱だった


「SSランクが三つ…ですか?」


「多いなんて言わせないよ」

「いえ、少なくありませんか?今はそれでなくても忍び不足、私ならば暗部総隊長と呼ばれていた者にSSSランクを二つ、SSランクを五つは用意します」


淡々と述べられた言葉に綱手は目を見開いて驚いたが、次の瞬間には笑っていた


「ははっ!そんなに任務出来るのかい?」

「はい、腕は鈍っていませんので」


にっこりと笑って返された言葉に綱手は七つの巻物を颯火に渡した


「やれるならやってもらおう。その代わり、黒楊を付けるよ」

「ご自由に。私は門の前にてお待ちしております」


そう言って瞬身を使って綱手の前から姿を消したのを見た綱手は式を黒楊へと飛ばした



「なんすか?」


数分後明らかに不機嫌ですと言う様な顔をして窓から入って来た肩まである黒髪同じ色の黒い瞳を持つ者で


「黒楊、何度言えば分かるんだい!窓は入り口じゃないと!!」

「説教なら帰るんで」


窓から部屋に入った黒楊だったが説教が始まった瞬間、踵を返して窓に足を掛けた所で綱手にまた叱られる
「黒楊!!」

「はいはい、何でしょうか火影様」


棒読みで言った黒楊にイラッとした綱手だったが、息を吐く事で自分を落ち着かせると綱手は真剣な顔をした

それに黒楊も重要な任務だと分かり窓に掛けたままだった足を下ろし、綱手の方に体を向けた


「颯火と言う名知っているね?」

「暗部総隊長…性別不明、蒼い髪に瞳の色は朱、里を一夜にして滅ぼす程の強力な力を持つ。確か五年からに長期任務に出ていて今だに帰って来ていないと、俺が知ってんのはこんだけですよ」


こんだけと言う割には良く調べられている事に綱手は総隊長の情報は厳重に巻物の中に封じてある筈。

また解読したなと思った綱手だがまぁいいと投げやりになっていた


「その颯火が今日帰って来た。それで黒楊に颯火の監視をして貰う、一様はツーマンセルだがね」

「マジかよ…」


本当だよと言う綱手に黒楊は興味深い総隊長に会えるのは嬉しいがツーマンセルじゃなくてもいいんじゃねぇーかと内心思っていた


「颯火は門で待っているとさ」


その言葉を聞くと窓から門に向かって瞬身を使ったが、綱手の大きい声が里に響いた




門まで来たのは良かったが気配を全く感じ無いことに首を傾げた時、声が聞こえた
「遅かったですね。黒楊、あなたは監視役。ツーマンセルと言われたかもしれませんがあなたの助けはいりません」


手伝うなと最初に釘を刺された黒楊はやっぱりなと思った。

颯火は単独任務を好み、マンセルを組むことが少ない


「一様監視役でも任務ぐらいは覚えて下さい」


キツイ言葉に黒楊の顔が引き吊ったが、巻物の量とランクに驚いた


「これ、今日中にやるんですか?」

「あぁ、まだ少ない方だ」


昔は一日中…と、ブツブツ呟いている颯火を余所に巻物を読んでいくと燃やした


「行くぞ」

「はい…って、うぉ!?」


黒楊が巻物を燃やしたのを見ると颯火は黒楊の服の襟を掴むと片手で印を組んでいた

それに驚いている内に目の前が真っ暗になった


「まず一つ目だ」


落ち着いた颯火の声と共に目に月の光が移り黒楊は眩しく思えて目を細めた


時空間忍術か何かかと思った黒楊だったが、周りを見てやっぱりかと思い、颯火を見た


「夜明けまでには片付けるぞ」

「はっ!」


返事をした黒楊は颯火の後に続いて任務を遂行していった。

赤らみ始めた頃、全部の任務が終わった


「黒楊、お前の戦い方は大キライだ。だからその命を粗末にしそうな戦い方を変えてやる」


「は?!」

手を出すなと言われたが自分の身を守るために黒楊は敵を倒していたが、服が破れていたり、血が出ていたりとボロボロに見えるが颯火には擦り傷一つも無い


「じゃあ明日な。」

「まっ、総隊長!!」


待てと止めようとしたがまたあの術によって消えた颯火に黒楊は溜め息を吐いた


「…めんどくせぇー」


大キライなのに何でまた明日になるんだと頭を掻きながら今日何度目かの溜め息を吐いた






      ーENDー
一様話は続いてます!
題だと何故だか繋げてみたくなるんですよね(笑)
今回は結構長かったなぁと思いますw



2011.5.12 完成


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