きっともう混濁していた
わたしはある時から急に、よく夢を見るようになった。それは見知らぬ誰かと一緒いて、わたしはただ傍観しているというものだった。
彼らは皆、大好きな食べ物を吐く寸前まで食べる、推しの尊さにひれ伏す、職場の嫌いな上司の愚痴を余すことなく吐き出す、だだっ広い白い空間の中でぽつんと立ち尽くす、ペットの死に寄り添う、など様々なシチュエーションの中で自由に過ごしている。わたしはそれを見つめている。彼らという人物や内容に共通点はない。
それを繰り返していくうちに今見ているものが夢なのか、現実なのか、その境目が曖昧になってきた。
わたしは一体いつ起きて、いつ寝ているのだろう。今は朝? それとも夜? 最後に食事を摂ったのはいつで、何を口にしたんだったか。わたしはどういう顔をしていたっけ、どういう奴だったっけ。
わたしは、わたしとは、わたし、は、、、
どうして今、暗闇にいるんだっけ?
遙か先に、針で穴を空けたほど小さく、ぽつんと丸い白色がある。ふわふわりと浮かぶ浮遊感の中、そこに近づくには足を動かせばいいのか、手を動かせばいいのか……さて、どうしてくれよう、と思ったその瞬間だった。白色はどんどん直径が増していく。それは広がっているのか近づいてきているのか、そんな判断すら付かないまま、すぐ目の前まで迫っているようかのように一面がその色で埋め尽くされた。
闇が後退していく。わたしよりずっと後ろに引いていく。わたしは光に呑まれたのか、それとも闇から放り出されたのか、そんなことがわかるほど意識はきっと清明ではない。
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