白い…???





「ホワイトデー、何欲しい?」




3月も中旬に差し掛かったある日、食後のお茶をしていたら突然ツナさんが言った。


あれ?おかしいな。
クリスマス前にもこんな光景を見たような……



デジャヴ?




「バカな事考えてないで早く欲しい物言え」


リボーンさん…優雅にエスプレッソを飲みながら銃を向けるの止めて下さい;;
そして当然の様に読心術使うのも。


『いやもうお気持ちだけで充ぶ「なまえ?」少し考えさせて下さい』


くそぅまたもやブラックスマイルに押し負けてしまった…;;

欲しい物って言われてもなぁ…元々物に執着しない質だし、本当に思い付かないんだよね。


『あ、「前にも言ったけど自由なんてのは無しだからな」ですよねー』


やっぱりダメか!

いい加減諦めろと言わんばかりの皆さんの視線が痛いけど気にしなーい(涙)



自分用に淹れたカフェラテを一口飲んで、むーっと再び頭を悩ませる。
なんで貰う立場の私がこんなに悩まないといけないんだ。


こんな事ならバレンタインにチョコケーキなんて作るんじゃなかったかなー?
いやいや、それはそれで文句言われそうだし。



でもうっかり『皆さんの選んで下さった物なら』なんて言おうものなら、いろんな意味で恐ろしい物を貰ってしまいそう。



ああ…ツナさんのオーラがどんどん黒くなってる気がする…ヤバいよね……;;




ん?黒……?



そうだ!自由の次に切実に望むものといえば…



『白いツナさんがいいです』

「「「「「「「「 は!? 」」」」」」」」


私の口にした言葉に、皆さんは一斉に困惑顔になった。

ツナさんが『黒く』なければ、黒笑顔とか黒オーラとかで脅されなくてすむんじゃないかと思ったのだ。
と言っても今更あの性格を矯正するなんて無理だろうけど。

はっきり言って苦し紛れ。


「ふーん…?」


皆さんの視線を集める中、当のツナさんはニヤリと妖しい笑みを浮かべた。

あ…あの笑みはなんかヤバい気がする…っ



私の座っている所まで来た彼に、身体の両側を塞ぐ様にソファの背もたれに手をつかれればそれだけで逃げ道は無くなる。


『つ、ツナさ……?』

「なまえも大胆だよね。皆の前で『俺』が欲しいなんて」

『は!?』

「だってホワイトデーのお返しに俺が欲しいんだろ?」



一瞬、頭が真っ白になった私はポカンとまぬけな顔をしていたに違いない。


さっきの私の言葉をどう取ったらそういう解釈ができるのよーー!!



「3倍返しどころじゃないけど、なまえにならあげてもいいよ?」


そう艶をたっぷり上乗せした声音で愉しそうに耳元で囁かれ、鏡を見るまでもなく顔に熱が集まるのが分かる。


『ややややっぱりいいです遠慮しししし、ます……っ』


盛大にどもりながらもそう言えば、どこからか笑い声。
そちらに目をやればその主はリボーンさんだった。


「ククク…今の顔とどもり具合はなかなかだったぞ」


目の前のツナさんへと視線を戻せばさっきまでの妖しさはどこへやら、肩を揺らして笑いだした。


「あははは…っやっぱ良い反応するなお前」


か、からかわれた!!!!
いや、本気でも困るけどさ!


やっぱり無理だ。
ツナさんの性格が白くなるなんて。


『………んの…』

「ん?」

『ツナさんの馬鹿ぁぁぁ!』


ささやかな反撃とばかりに思いっきり耳元で叫んでやった。
思わずツナさんが耳を塞いだ隙に腕の間から逃げ出す。


『カップは明日片付けますからそのままにしておいて下さい!』


その様子を面白そうに見ている皆さんとオロオロしている獄寺さんを横目に、自分の部屋へと逃げ込むのだった…。








(で、ホワイトデー結局どうすんだ?)

(あ……)

(なまえのお望み通り綱吉が白くなればいいじゃないですか。なんなら幻術でもかけてあげますよクハハッ)

(骸…いたのか)

(失敬な男ですねまったく)



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