7.おそろい

――まぶしい…。誰かの話し声がする…。ここは…どこ?
そっと目を開けるとママがわっと泣きながら抱きついてきた。
パパも泣いている。
「良かった…。本当に良かった…!このままもう目を覚まさないかと思ったのよ…。」
「え…?私、死んだんじゃなかったの?ここは…どこ?」
「奇跡的に助かったんだそうだ。ここは病院だ。お前は生きているんだよ」
「お姉…ちゃんは…?」
私がそう言うとパパもママも口をつぐんでうつむいてしまった。
「死んだよ」とパパ。
「お前を刺した後自分で自分の喉を包丁で刺して…な…。」
「えっ…えええっ…そ…そんなっ…う…うわぁぁあんお姉ちゃん…!!」
涙が止まらなかった。
双子の片割れを失った悲しみと、お姉ちゃんがどんな思いで死んでいったのかを想うと…。

 退院後、お姉ちゃんのいなくなったクライン家は重い空気に包まれていた。
パパの表情も暗く、ママは毎日のように泣いている。
きっと後悔しているのだろう。何でもっと愛情を持って育ててやれなかったのかと。
今頃わかってももうお姉ちゃんはこの世にいない。
私もお姉ちゃんの悲しみに気付いてあげられなかったことを後悔した。
そして、それは全てこの恵まれた外見に生まれたばかりに姉以上に愛されて育った私自信が元凶なんだとも思った。

だから―――私もお姉ちゃんのところに行こう。
私たち双子は壊れた鏡。こんな鏡割れてしまえばいい。
ごめんね、ごめん、お姉ちゃん。全部私のせいだね…。
今から私もそっちに行くからゆるして…。

私は14階建てのアパートの屋上にのぼった。

青い空。よく晴れてるのに粉雪が降っている。
そういえば私たちが生まれたときも雪が降ってたんだっけ…。
風が…気持ちいいなぁ…。 ああ…なんて私は幸せなんだろう。
これでまたお姉ちゃんと会える。
お揃いだね。

私は屋上から地上めがけてジャンプした。

―――ねえお姉ちゃん、次に生れてくるときは私たち、全部お揃いがいいね―――

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