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熱戦だった誠凛秀徳戦の翌日。朝練の後に放課後の練習の予定をリコに聞けば不思議そうに「今日は部室の片付けよ」とこちらを見上げられた。

「へ? 片付けすんの?」
「そーよ。あれ、昨日言わなかった?」
「聞いてない」
「千秋くんには言わなかったっけ。…ほら、一応火神君の休息も含めて、ね。それに明日部室に生活指導が入るのよ。今年はやってなかったし」
「ふぅん」

まあ確かに次の霧崎戦まではWC開催側の都合で一週間の期間が空く。火神は昨日の秀徳戦でかなり消耗しているだろうし一日を休息に当ててもそれほど問題はないだろう。

「ま、千秋君なら大丈夫でしょ」
「何が?」
「ロッカーの中身。いかがわしいものとか入ってないでしょ」
「部室のロッカーにはいれないだろ……」
「分かってないわね。男子ってもっと単純よ」
「なんで女子に男子が分かってないって言われなきゃならないの…」
「分かってないから」

語尾にハートマークでもつけていそうなぶった口調に妙な心地になりつつ首を傾げていると「まあもう色々出てくるわよ多分。楽しみにしときなさい」と背中を軽く叩かれた。何が何やら。
にしても自分のロッカーには何もまずいものなんていれてなかったはずだが……。ちょっと不安になって頭の中でロッカーを漁ってみたがやはりまずいものはなかったと思う。そもそも見られてまずいものは持ってない。はずだ、多分、恐らく。

***

そしていざ放課後。片付けのつもりで部室に入ると今まで相当汚かったんだな…と改めて実感する次第である。
床に積み上げられた雑誌や放られたままにされているバッシュTシャツタオル以下諸々。というかなぜベンチの上に戦国武将やらだるま落としのおもちゃやらが乗っかっているのか、考えてみればおかしな話である。部室のあまりの惨状に押し黙ってしまった部員たちに喝を入れつつ手短なロッカーを開けたリコはロッカーの中を見て勢いよくロッカーを閉め一瞬の暴走を経て部員たちに抑え込まれた。それほどにショッキングだったのだろう。気持ちは分かる。が、燃やせば大変どころの騒ぎではないので燃やすのは諦めてほしい。
少なからず惨状にドン引きしていた千秋だったがよく考えると今までこの状態の部室を一度も整理しようとは思っていなかったのだから所詮同罪である。責任の一端は全員にある。
先ほどのロッカーのせいか全員まずは部室全体の片付けからかかることに決めたらしい。それにしてもこの分だと終わるのは一体いつになるのやら。


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