05

こんな青峰を見たのはいつぶりだろう__。
夏目は目の前のコートで行われる熱戦に釘付けになりながら、そう思った。
昔はそうだった。本当にバスケしか頭にないようなバスケバカで、試合の日は生き生きしてて、誰よりも楽しそうだった。そんなアイツが、いつから試合の日に笑わなくなったのだったか。つまらなそうに大好きだった筈のことをするアイツはどこか無理をしているようで、何かに縋っているような。

試合終了のブザーが鳴る。結果は101-100で、誠凛が僅差で勝利。
夏目は息を吐く。どうやら無意識に相当緊張していたらしい。ふと緩む口元を引き締める。秀徳は明日が一回戦だ。他の試合に安堵している場合ではない。

***

翌日の一回戦を終え家に帰ると、携帯に新着メールの表示。
差出人は黒子テツヤ。件名は『お疲れさま』。本文は__

「ちょっと夏目、こんな遅くにどこ行くの?」
「何かテツヤから呼び出し」
「テツヤ君?」

なら大丈夫か。と無条件に幼馴染を信頼しているような母親の台詞を聞き、夏目は「じゃあ行ってくるから」とメールに書かれていたストバスコートに向かった。
にしてもそっけないなー、と夏目は送られたメールを見直す。
時刻と場所だけが簡素に記された本文はそっけないことこの上ない。高尾のメールはこれの10倍くらい長いしフレンドリーである。
__いやうざいけど。と内心でもしっかり貶していると、ボールの音が聞こえてきた。



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