※シズイザ+つがサイ ※たいへん別人です ※サイケのマスター:臨也 ※津軽のマスター:静雄 ※サイケと津軽はお互いのインターネット回線が繋がってると会えます 「珍しいこともあるんだな」 まじまじと椅子の背もたれに寄っ掛かりながら寝入っている臨也を津軽は見詰める。 「さいきん忙しいみたい」 だからシズちゃんに会えてない。とナイフを手入れしているのを思い出して、サイケは少し寂しそうな表情を浮かべた。 「つがる」 ぎゅ、と津軽の羽織を掴む。 「…臨也に掛けろって?」 「うん、かぜ、ひいちゃう」 一瞬嫌そうな顔をしたが、サイケの必死な様子に肩を竦めて、羽織を脱ぎながら臨也に近付いた。 (静雄が居たら、やる、だろうしな…たぶん) 羽織を掛けようとした時に臨也がピクリと動いてうっすら目が開いて津軽の姿を認め口角をあげたので、一瞬躊躇する。 「…シズちゃ…」 「…は…?」 羽織も掛けられず呆然としてしていたが、暫くしてまた一定感覚の寝息が聞こえてくる。 「……」 「つがる、どうしたの?」 サイケがひょこりと津軽にくっついて尋ねる。 「こいつ、俺と静雄間違えた」 普段だったらあり得ないのに。 「え」 いつもなら、津軽が居れば 『ちょっとうちのサイケにくっつかないでよ!』 と口を尖らせながらも 『ほんとシズちゃんに似てるよねぇ…いっそ死んでよ』 とナイフをちらつかせてサイケに止められている。 『いざやくん、やだやだ、よくないっ』 『だって、凄いシズちゃんに似てるんだよねえ…ま、あんなにデリカシーないわけじゃないし化け物みたいじゃないけどね、津軽はさ』 サイケの頭を撫でて、ナイフと津軽を見比べて少し切なそうな表情をするのだ。そんな応酬をする度に思わずにはいられなかった。 (素直になれば良いのに) その臨也が静雄と津軽を間違えたことに少なからず津軽とサイケは動揺した。 「…いざやくん…」 不安そうに臨也の傍にしゃがんで見詰めるサイケを安心させるようにゆっくり頭を撫でた。 「けんか、し足りないの…」 「いや、違うだろ」 「けんかがしたいわけじゃないんだよね、でも足りてないんだよね」 お互いの存在が。 津軽はマスターを思う。 * 『…悪ぃな』 有線LANな上に使った分だけ使用料が加算されるから、中々インターネットに繋がない静雄は津軽に小さく謝った。お金が無いわけではないが、堅実に貯めて使っているのを津軽は知っているので文句はない。 (もう少し会えたら良いけど) 思うくらいはするが。 『…どうだった』 サイケが来ることもあったが、基本的には津軽がサイケの元へ赴き、帰ってくると必ず尋ねた。主語は無かったが何度も聞かれる内に意図を把握した。 『サイケが臨也の怪我が酷くてテンパってたけど、ま、新羅来てたし。…またやったんだな』 『仕方ねぇだろ、ノミむ…臨也見てっとなんかイラつくんだよ、今日だって。…結局避けてくれたが、ガードレールかすっちまった』 (最終的に自分が傷付いた顔するくらいなら止めれば良いのに) 津軽とサイケのように素直になれば良い。 >>次 長くなっちゃったのでちょっと続きます。 |