■ 01


「臣!」



私の声にカタンと音を立てて姿を見せるこの男。

ドアを開けると全裸でバスルームから出てきた。

濡れた髪からポタポタと雫を落としたままに、私を見てニッコリ微笑んだんだ。



「お帰り、麻利亜ちゃん」

「床に水滴が落ちてるじゃん、ばか!」

「え?あーごめん。タオルどこだっけ?」

「私もシャワー浴びる。全部洗い流したい」



持っていたバッグをその場に落とすと全裸の臣が素早く拾ってクローゼットの前にある棚にかけた。

そのまま私の手首を掴んで洗面所へ連れていく。

無気力に歩く私を引き寄せて一つ一つ服を脱がせていく臣。

私を自分と同じ姿にすると「可愛い」小さくそう呟いた。

シャワーを浴びてそのままベッドにだいぶ。




「疲れた…」

「お疲れ様!」

「マッサージして」

「いいよ」



臣のマッサージは気持ちがいい。

マッサージはマッサージで、そーいう空気を出さないのがまたいい。



「背中、ガッチガチだね」

「うん。頭痛い…」

「薬飲む?」

「うん」

「ちょっと待ってて」



私の身体から離れてリビングへと歩く臣は全裸。

うちの中ではいつでも全裸が決まり。

裸族じゃないけど、綺麗なものをみすみす見逃すなんてしたくないから。

前も後ろも隠すことない臣を、私は一ヶ月前お金で買い取った。

三千万円の借金の肩代わりをした私に、臣は小さく言ったんだ。



「あんたに俺の一生を捧げる」と――――。



一生って、どんなもん?



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