■ 01
ハッと目を覚ますと大きなベッドの上だった。
「あ、起きた?」
そう言ってあたしの股間の下から顔を出した男、隆二。
お父様は代議士で生粋の大金持ちの息子、今市隆二。
うちの母はこの屋敷の家政婦だった。
物心ついた時からこの家の一室を使わせて貰っている住み込みの家政婦。
ゆえにこの家のことはぶっちゃけ知り尽くしている。
隆二がどんな性格なのかも、全て…
カチャッて音がして眼球をぐるりと回すと相変わらずだだっ広いこの部屋。
ベッドに繋がれた両手足の手錠が動く度に音を出す。
あ、あたし意識飛んでたんだ。
「腹減ったなー。飯食いに行く?」
「え、」
「とりあえず俺のこいつどうにかしてよ」
そう言うと隆二は、ベッドに拘束されているあたしに跨って下半身を顔の前に突きつけてきた。
ほんのり角度をつけているそれをあたしの口に突っ込むと、隆二はその場で前後に腰を動かし始めた。
喉の奥まで入って苦しい。
けれど、あたしに跨る隆二は昇天する為に意識を高めていて、ほんのり目を閉じて呼吸を大きくするその姿に、毎度のことながら胸が熱く焦がれる想いだった。
この男と初めてこうやって裸で抱き合ったのはもう、数年前。
お金に困っていたうちの母が今市家の奥様のジュエリーに手をかけたのがキッカケだった。
黙っててやる代わりにあたしを差し出せ…そう言った隆二は、その日からずっとあたしって玩具を自由に扱っている。
「嫌なら断れよ」
そう言う隆二に黙ってついてきたのは、母にこれ以上負担を追わせたくないって思いよりもそう―――――隆二が欲しかったから。
初めて隆二お坊ちゃまを見た瞬間、こんな人間がこの世に存在していたのかと、震えるぐらいの感動を覚えたんだ。
だからあたしは母に告げた。
「ママあたし、隆二が好きなの。だからすごく嬉しい…」
その気持ちは、二十歳になった今も変わらない。
例え隆二のセックスが狂っていたとしても。