小さな嫉妬


「何か…みんな揃いに揃って何で腹筋割れてんの…?」

「…え?」


夢中で私の身体を愛撫していた剛典に向かってそう聞くと顔を上げて私を見下ろした。

パサって金色のサラサラな前髪が剛典の奇麗な顔を隠すように落ちて色っぽい。


「臣も哲也も啓司も、アキラも…―――」


ツーって剛典の腹筋を下から撫でるとフウって大きく息をはく。


「ちょっと…俺に抱かれてる時に他の男の名前出すなんて…」


ムウって唇を尖らせる剛典は可愛くて。

ただ、この行為に関しては至って普通。

むしろ慣れているんだろうけど、私のツボを知っている哲也との方が気持ちがいい。


「片岡直人も私を抱くかな…」


何となく、小柄なあの人を思い出してそうぼやいた。


「だから!俺のことだけ思ってよ、ユヅキちゃんてば…」

「え?ああ、ごめん。別にメンタル弱ってるわけじゃないから…」

「…え?弱ってるの?」


話す体勢だろうか、私の上に身体を乗せる剛典は両サイドに手をついて覗き込んだ。


「まさか…」

「哲也さんと何かあった?」

「…あったのかな?」

「はぁ?」

「いや、私にも分らなくて…」


困ったように眉毛をさげると、剛典が私の上から下りてベッドにゴロンっと転がる。

そのまま横から私の首の下に腕を通して腕枕をしてくれて。


「ユヅキちゃんいつからここにいるの?」

「…え?」

「家族は?」

「…え?」

「どういう経緯でここに…」

「剛典…」

「え?」

「続き、しないの?」


剛典のソレを手で握ると、めっぽう硬くて。


「あ〜気持ち…」


目を細めて甘い声を出す剛典の上に跨った。

そろそろと下に降りていって、ソレを口に含むとそっと私の頭に手を乗せる。

撫で撫で…って手に力が入らないのか軽く撫でてくれて。


「…他の男に同じことシてるって思うと…ちょっとイヤかもな…」


剛典の言葉は無視した。

何を言われた所で私の相手は剛典じゃない。

哲也でもなければ臣でも…

片岡直人とこうしない限り、私の任務は終わらないって胸に刻んで剛典との夜を過ごした――――



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