「お帰り」が合図
それからの時間は夢のようだった。
でもそれは現実で。
最初に私の中に直人が入った時は、久しぶりってこともあって妙に違和感を覚えた。
でも直人から繰り出す甘い言葉と温もり、私に触れる手の温かさと優しさ。
愛おしそうに見つめるその目に感動すら覚えた。
動いているせいで荒ぐ直人の呼吸と、接合部分から漏れる愛の水音。
時折見せる八重歯とえくぼのある笑顔と、少し掠れ気味の声…
全部が幸せだと思った。
違和感なんてすぐにどこかに消えて、現れたのは溢れんばかりの愛。
直人を愛おしいと思う愛が、私の中に芽生えて大きくなっていく。
その想いを乗せたまま、直人の律動に合わせて動く私に、直人の顎のラインから汗が滴り落ちて…
最奥を直人が何度も突いてくるうちに頭の中が真っ白になった。
全身を長い糸でピンっと張り巡らされたような快感が突き抜けて、熱い直人自身が埋まっている場所が痙攣を起こしたように震える。
身体の力が抜けてベッドに深く深く埋もれていく私の上で、更に律動を速めた直人は、もう感覚がおかしくなりそうな私の中に、熱い想いを吐き出した―――――…
ゆっくりと私の中から出ていった直人。
ベッドに転がって大きく胸を上下に動かして呼吸をしている。
遠のきそうだった意識を戻して直人に身体を寄せると、逞しい二の腕ですぐに私を抱き寄せてチュっとオデコにキスを落とした。
「大丈夫?」
「…え?」
「ちょっと理性なかったかもしんなくて…無理やりじゃなかったかな?」
「うん。最高だったよ」
「あは、マジで?よかった…」
ギュって横向きで私を強く抱きしめる直人からは微かにまだ香水が漂っていていい匂いが充満している。
腕を絡めて背中に手を回す私を優しく抱く直人。
「直人あのね…」
「ん〜?」
「お帰り…」
私の言葉に目を細めて口端を緩めた。
頬を擦るように寄せて「可愛い奴だなユヅキ…」そんな言葉と一緒に私に降るキスの嵐。
頬に、鼻に、目に、唇に、指に、首筋に、耳朶に、胸に…―――――
「止まらないんだけど…」
苦笑いで私の上にまた乗っかる直人。
しぼんだはずの直人自身は軽く復活の兆しを見せていて。
私の下半身の状態を確かめるみたいにそこに指を触れさせた。
入口付近を指でサワサワしながら突起を指で擦り上げた瞬間…「ひゃああああっん…」声が漏れた。
そんな私を見て直人は開脚したそこにチュっと舌を押し入れたんだ。