2.先輩ヒーローと出会う (4/4)


ノアが中に入ると、突然バタバタとこちらに向かって来る足音が聞こえた。
何だろうと思っていると「Voidoll!ちょうどよかった!」と言って金髪で大きなヘッドフォンをした少年が現れた。
少年はてっきりVoidollがいたと思ったのかノアの姿を見ると「…お前誰だよ?」と聞いてくる。
そう聞かれノアは何と言おうか迷うが「新しいヒーローの…ノアって言います」と答える。
するとそれを聞いた少年は「新しいヒーロー!?」と目を輝かせる。
「ソウデスヨ、アタリサン」とVoidollがノアの後ろから顔を覗かせて言う。
アタリ、と言うのが少年の名前なのだろうか?とそう思っていると少年が二カッと笑って「俺、十文字アタリっていうんだ!よろしくなノア」と手を差し出す。
ノアはそれを見ると「はっ、はい」と言ってアタリの手を握り握手をする。
そんなノアにアタリは「敬語じゃなくていいって!」と笑う。
「えっ…あっ、じゃあ分かった」
アタリの言葉にノアは少し戸惑ってしまうが小さく頷くとそう言った。
そんな様子を見てVoidollは「アタリサン、ノアサンヲコマラセナイデクダサイ」と言う。
アタリはVoidollの言葉に「困らせてなんかねーよ!」と不服そうに言う。
「ワタシカラミタラ、コマラセテルヨウニミエマシタヨ?」
「…マジか」
「あっ…と、困っては、ないよ?」
ノアがそう言うとアタリはパッと笑顔になり「だよな!」と言う。
Voidollhは「ノアサン…。」と言うがノアは苦笑するしかできなかった。
「マァ、オハナシハココマデニシテ…ノアサン、コレカラコノナカヲゴアンナイシマスネ」
「あっ…はい!」
「アタリサンイガイノヒーローノカタトモ、スコシダケカオアワセヲシチャイマショウ」
そう言ってVoidollがノアを連れて行こうとした時だった。
「それ俺も一緒でいいか?」とアタリが笑顔で聞いてきた。
断る理由もないし、むしろ心強いと思ったノアは「うん、いいよ」と頷く。
「他の奴らに会った時とか、そういうのは俺に任せてくれよな」
「ありがとう、アタリくん」
「礼なんていいって!」
そう言って笑うアタリを見てノアは「(アタリくんは優しいんだなぁ)」と思った。
すると、Voidollが「デスガアタリサン、サキホドアワテテイタヨウデスガソレハヨロシイノデスカ?」と首を傾げた。
Voidollの言葉にアタリは「ああっ…!」と思い出したように声を上げるが数秒考えると「まぁ、後でも大丈夫だから気にすんな!」と笑った。
そんなアタリをVoidollはジトッとした目で見ると「オオカタ、ゲームキガナニカエラーヲオコシタノデショウ?」と言うとアタリは分かりやすいぐらいにギクッとする。
そして苦笑をすると「いやー…ついついやりこんでたらさぁ、ゲーム機とコントローラーの調子が悪くなってさ」
「…コノマエモイイマシタガ、モウスコシテイネイニアツカッテクダサイ」
「分かってるって…。」

そんな二人の会話を聞きながらノアは「二人は仲いいんだね…。」と言う。
それを聞いた二人は少しお互いの顔を見るとアタリは「そうかもな!」と笑うがVoidollは「ソウデスカネ?」と首を傾げる。
「私から見たら十分、仲がいいと思うな」
「フム、ソウイウモノナノデスネ」
Voidollはノアの言葉にどこか関心そうにそう呟くとうんうんと頷く。
そんな風にしているとパタパタとこちらに向かってくる足音が聞こえる。
誰か来るのだろうかとノアが前を見た時だった。
ノアの目に映ったのは綺麗なピンク色の髪をツインテールにした少女だった。
可愛らしいハートの髪飾りを付け、ハートのステッキを持った「魔法少女」のような子。
その少女はアタリとVoidollに気づくと「あっ、アタリくん!それにボイちゃん」と微笑むがノアに気づくと「えっと…その子は?」と首を傾げる。
「コンニチハ、リリカサン…コチラノカタハキョウカラキタアタラシイヒーローノノアサンデス」
「そうなの!?それじゃあリリカたちの新しい仲間だね!」
そう言って"リリカ"と呼ばれた少女は嬉しそうにして微笑む。
一方、ノアの方はというと…。
「…"リリカ"?」
その名前に反応したかと思えばおずおずと少女に「あの…。」と声をかける。
「?」
「あの…もしかして貴方は、魔法少女リリカ…ですか?」
そう聞くと少女…もといリリカは「うん!そうだよ」と笑った。
その言葉を聞いた瞬間、ノアはパァッと目を輝かせる。
それを見たアタリは何かピンッと来たのかノアの方を見ると「もしかしてノアってリリカのファンなのか?」と聞く。
するとノアは強く「うん!」と頷くとリリカに「ずっと大ファンでした!」と言う。
「アニメ見てからずっとリリカちゃんを応援してました!ここで会えるなんて思ってなかったけどとっても嬉しいです!これからもよろしくお願いします…!」
そう言ってお辞儀をするノアにリリカは最初、オロオロとしていたがノアが自分のファンなのだと思うと嬉しそうにして「こちらこそよろしくね!ノアちゃん」と微笑む。
そんな二人を見ていたアタリとVoidollはニコニコしながら見守っていた。
…そんな声が聞こえていたのか「なんか騒がしい」と言う数人の声が聞こえた。
それに気づいたリリカはノアの手を握ると「あっちにある共同ルームに他の皆がいるよ!」と教える。
「ミナサンガソロッテルナラチョウドイイデスネ…。」
「でもまだアリーナから帰ってこなさそうなやついそうだよな」
「…ソノトキハ、スコシマチマショウ」
「多分、そろそろ帰ってくるはずだよ…!」
そんな事を話しながらノア達は共同ルームへ向かう。
「(他の人達かぁ…これから自己紹介するとしたら緊張してきた…。)」
自己紹介、失敗しないといいなぁという不安と緊張を胸にノアは挨拶の言葉を考えるのだった。






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