「さっさと戻るぞ、サボり」

 俺の頭を叩くと、腕を掴む。おい、なんで俺だけ。芳名もここにいるだろ。

「つーか、テメェもだろ」
「俺は生徒会長様だからいいんだよ」

 いや、ドヤ顔で言われても…。微妙な顔をしていると、芳名が横で苦笑した。

「生徒会の皆様は特権で授業免除ですから」
「ああ…そういえばそんなのあったな」

 空音から聞いた話を思い出す。副会長が仕事していなかった時も、授業に出ずに仕事していたんだったな。

「でもそれは仕事の時だけだろ。テメェは今なんの仕事してんだよ」
「お前、そんな見た目なのに真面目だよな」

 目を細めて笑う。「煩ぇな」恥ずかしくなって顔を逸らすと、芳名と目が合った。気まずそうな顔をしていた。俺も気まずい…。

「では、私はこれで」
「ああ」
「ああじゃねえよ。一緒に行けばいいだろ」

 先に行こうとする芳名を止めれば、クソ会長と芳名が顔を見合わせる。そして、二人そろって呆れた顔をして溜息を吐いた。

「……行け」
「失礼します」

 おい、シカトかよ。つーかこいつはいつまで俺の腕を掴んでいるつもりだ。