捕まえた、捕まえられた

不良×男前








「夏生、呼び出し」

 昼休み、昼食も済ませ、友達と談笑していると、教室のドア付近にいたクラスメイトが俺を呼ぶ。談笑していた友達は色々と俺に言葉を投げかけべたべたと俺に触ってくる。俺はそれから抜け出し、教室のドアまで歩いて行く。呼び出されたことに驚きはない。告白だと揶揄ってくる奴らに照れることもない。自分で言っちゃなんだが、俺の容姿は整っている。つまりこうやって呼び出され、告白するのはもう慣れっこなのだ。

「誰から?」
「…見れば分かるよ」

 クラスメイトの顔からは、なんだか憐れみを感じる。厄介な人物か、もしくは相当顔が悪いか…。まあ、ここに来ているみたいだし、それはすぐに分かることだ。

「こんにちは」
「…あ、こんにちは」

 黒髪ロングの女子が俺を見上げ、にこりと笑う。俺は目を丸くしてその女子を見下ろした。まず、普通に可愛い。そして普通に性格も良さそう。……性格が良いか悪いかはまだ判断が早いけど。

「えっと、移動する?」
「うん。そうしていいかな」

 そして俺たちは、告白スポットとして有名な体育館裏へと移動した。











「あの、私のことって知ってる…?」
「いや、ごめん、知らない…」

 そう言った瞬間、彼女はほっとしたように見えた。それに内心首を傾げるが、何も口にしなかった。

「あ、そっか。えっと、私、小竹優っていいます」
「小竹さんね。宜しく」
「夏生くんに頼みごとがあって…」
「俺に?」

 あれ。告白じゃないのか。なんだ。少しほっとしながら、愛想笑いを浮かべる。

「いいよ、何?」
「実は私、ある人に付き纏われてて…」
「付き纏われてる…なるほど」

 これから言われることを理解して、頷く。

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