楽しいことが永遠ではないから楽しいのだと烏が鳴いた

元チャラ男×元地味男/すれ違い





 真面目だけが取り柄の地味男。身長も低くておどおどして。頭がちょっとだけ良い。それが俺。
 チャラ男。授業サボってばかりでお調子者でKYで、でも優しい。それがあいつ。
 夕焼け空、誰もいない教室。

「俺は健やかなる時も病める時も〜えーと、なんだっけ? まいっか、とりあえず、永遠に愛することを誓いまーす!」

 どうしてあいつは、こんなことを言ったんだろう。
 永遠なんてもの、あるはずがないのに。









「ちょっとぉマサちゃん聞いてる?」
「ふぁ…うんうん聞いてるようん聞いてる」
「聞いてないじゃんマサちゃんのバカ!」

 俺は、はいはいと適当に返事をしながらジュースを飲むと、まきちゃんだかまろちゃんだかはバカァと叫びながら店から出て行った。あーあ、行っちゃった。じゃあ俺も帰ろっとぉ。なんか今日お客さん? ってーか、父さんの部下の息子さんが来るとか言ってたし。

「あー、めんど」

 俺は頬杖をついて、溜息を零した。







「ただいまー」
「ああ、おかえり。今日バイトないよね?」
「うん、だって父さんが言ったんじゃん? 今日は用事作らないで早く帰ってきなさいってー」

 それで、もう来てるんだよね?
 俺は上品に揃えられた高価そうな靴を見て首を傾げた。

「ああ、来ているよ。さ、リビングに行こう」

 父さんはにこりと笑う。
 曰く、その人は俺と同い年だそうだ。好青年だぞとにこにこしながら言う。好青年って、もしかして真面目くん? 仲良くなれそうにないなあと思いながら父さんの後を追った。

[ prev / next ]



[back]