日吉若 -先輩をコントロールできれば、下克上…!

*会話文





「おつかれさまです」

「オツカレ〜」

「つくづく先輩って不思議ですね」

「ん〜?」

「シングルスはそこそこ強いのに」

「そこそこって何だよ〜」

「まぁ、ある程度は」

「ひよCに負けたことないC−」

「くっ…ひよCはやめてください」

「試合楽しかったー!」

「滅茶苦茶でしたけどね」

「そう?確かにちょこっと負けちゃったけど、面白かったよ」

「越前も芥川先輩も、シングルスは強いのに、なんで組むとあんなになるんですかね」

「越前なんて、中学最強なのにね〜」

「ちょこっとどころか、大差で負けてましたね」

「そだっけ。スコアはよく見てない〜」

「何で見ないんだ…一応、トーナメントでしょ」

「面白かったからいいんだよ」

「相手の仁王さんと菊丸さん、どうでした?」

「強かった〜面白かったー!二人ともダブルス慣れてるしね」

「どちらも団体戦はダブルスで出ることが多いですしね」

「仁王くんのイリュージョン、まじ本物みたいで楽しいよねぇ」

「全然対応しきれてなかったですね。先輩も越前も」

「そんなことないC−!」

「そんなことあるでしょ」

「なんだよ、ひよ〜」

「日吉です」

「ぶー」

「ぶーたれないでください。だいたい、何で越前と組んだんです?」

「へ?」

「接点ありましたっけ?越前と」

「中学んときのU17合宿で、割と一緒にいたんだよね〜」

「あぁ、昼寝ですか」

「寝てたら跡部に起こされて、隣に越前がいてさ」

「そういえばしょっちゅう跡部部長に怒られてましたね」

「休憩中だったのにぃ」

「夜、外で寝てたりするからですよ。しかも他校生連れて」

「オレが連れ出したんじゃなくて、越前がついてきただけだし〜」

「どうだか。芥川先輩、何だかんだで日当たりよくて温かい場所で寝てますもんね」

「その日一番の昼寝スポット探すのは、天才的って褒められた」

「丸井さんですか」

「うん!」

「…褒めてないですからね、それ」

「ほぇ?」

「越前も、それが理由で芥川先輩のそばで昼寝するんでしょうね」

「そういえば寝ようとしたら、いっつもオレが先に寝てるって言われた」

「で、結局2人でねっ転がって、跡部部長に見つかるんですね」

「跡部もまじまじ、オレのこと探すのが天才的にうまいんだよ」

「…部長も本望でしょうね」

「樺ちゃんには負けるけどねー」



「それで、今回は越前とペア組んだんですか?」

「そーでもないけど。最初丸井くんと組もうとしたんだけどさー」

「丸井さんと?」

「タッチの差で、宍戸と組まれちゃって」

「そこそこ勝ってましたね。丸井さんと宍戸先輩のペア」

「宍戸に、『丸井くんとペア組む!』て言ってたんだけど、何か知らないうちに宍戸が組んでたー」

「丸井さんに拒否されたんですか」

「むぅ……そんなこと無いんだC」

「それで、越前?」

「次に不二に申し込もうとしたんだけど」

「青学の不二さんですか」

「うん」

「不二さん、幸村さんと組んでましたよね?」

「ちょー強かったよねぇ、二人のペア」

「優勝してましたし」

「そーそー」

「不二さんにも断られたんですか?」

「ちっがーう。ペア組もうよーって話してたのに、何かわからないうちに幸村くんと不二のペアが出来ちゃってたんだよ」

「それを断られたというんですよ」

「ちがうしー」

「…で、その場にいた越前と組んだんですね」

「よくわかったね〜」

「不二さんや菊丸さんに、すすめられたんじゃないですか?」

「そだよ〜。菊丸くんに、『おチビと組んでやって』て言われて、越前もOKしたからペア結成!」

「押し付けられたんですね、互いが」

「はぇ?」

「芥川先輩、氷帝じゃ誰もダブルス組んでくれないでしょ」

「…みんな、酷いんだC」

「越前も、ダブルス組んでるの見たこと無いですしね」

「あんなにうまいのに?」

「個人戦が強くても、ダブルスがてんでダメな見本が、目の前にいますけど」

「……ひど〜い」

「あの跡部部長と組んでも、駄目でしたよね」

「そんなことないよ〜」

「あります。無尽蔵なスタミナの跡部部長があんなにヘトヘトになった姿なんて、久しぶりに見ましたよ」

「むぅ…」

「本当に誰と組んでもダブルスだめなのか、試してみようと思ったんですけどね」

「…う?」

「今日のペア、芥川先輩と組もうと思った、と言ってるんです」

「まじまじ?」

「ええ」

「なんだよぉ〜、早く言ってよー!!」

「言う前に越前と組んでたでしょ」

「だって宍戸が〜」

「宍戸先輩?」

「『氷帝でお前と組んでくれるヤツはいねぇから、他校をあたれ』って」

「…まぁ、間違ってはないですね」

「ぶー」

「だからぶーたれないでください」

「……こんど、オレとダブルスやってくれる?」

「いいですよ」

「やっりぃ!」

「そのかわり、ちゃんと言うこと聞いてくださいよ?」

「…オレ、先輩だC」

「適材適所です。どうみても俺がカバーでしょ」

「ね、次に部活でダブルス練習のとき、ひよC、オレと組む?組む?」

「お試しですね。これでうまくいったら…」

「う?」

「跡部部長でも御し切れなかった先輩をコントロールできれば……下・克・上!」





5月5日『俺様が祝う部員の誕生パーティ』メインイベントのひとつ、ダブルストーナメントが終了。
幸村・不二の最強ペアが圧倒的な強さを見せ付けて文句なしの優勝を飾る一方、1回戦で仁王・菊丸ペアに瞬殺された芥川・越前ペア。
ちなみに日吉・切原ペアはそこそこ勝ったけど、幸村・不二ペアにあたってボッコボコにされたらしい。






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ひよCは何だかんだで優しいんだC。


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