夏・日曜日




―日曜日夕方、湘南・海の家『くわはら』にて―

「はい、ジロくん」

「ありがと」

「スプーンいる?」

「ストローで大丈夫」

「コーラのほうが良かった?何ならジャッカルにもう一個―」

「ううん、オレ、クリームソーダ好き」

「よし。じゃあもうちょっとだけ待っててな」

「うん!」

「あと少しで終わりだから」

「は〜い。オシゴト、頑張れ〜」

「うっし!じゃあ向日、ジロくんよろしく」

「……ああ」





「岳人、アイス食べる?もういっこストローもらおうか」

「…いい。お前のクリームソーダフロートだし」

「美味Cよ?」

「アイスコーヒーで十分」

「そう?」

「……それより、もうじき丸井あがりだよな?」

「うん!あとちょっと」

「デートすんだろ?」

「えへへ、初デートだC」

「…じゃ、俺そろそろ帰る」

「えぇ〜?岳人も行こうよ〜。新しくできたゲームセンター行くんだよ?」

「……おい、デートだろ」

「うん!」

「幼馴染の付き添いとか、ありえねーだろ」

「今までも一緒に遊んだことあるじゃん」

「あのなぁ。今までと今日は違うだろーが」

「う?」

「丸井とのデートに、もし仁王がついてきたらどーすんだよ」

「におくん?3人で遊んだことあるけど」

「〜っ、そういうことじゃねー」

「この前も丸井くんとにおくんと、立海近くのココ○チで新作カレー食べて、そのあとゲーセン行ったよね〜」

「…おい、仁王。このバカどうにかしてくれ」

「芥川」

「におくんも行こーよ。4人でいけばレース対戦もできるC〜」

「あいにく今日これから俺ら用事があるけん。一緒には行けんよ」

「えぇ〜岳人ヒマだって言ってなかった?」

「あー…」

「向日と一緒に、ちと出かけるんでな」

「…あ、そうそう。仁王と約束してんだよ、これから」

「そっかぁ〜。あ。だからここまで一緒に来てくれたんだね」

「そうそう」





「ジロくん、お待たせ」

「丸井くん!」




「ブン太、俺ら帰るけぇ」

「じゃあな、ジロー」




「おう。仁王、色々さんきゅーな。向日も」

「岳人、におくん、ばいばーい!」




「ジロー、ちょっと」

「うん?」

「お前、今日帰ってこいよ」

「?帰るよ?泊まるってお母さんに行ってないC」

「ならいい。丸井、ジローよろしくな」

「おう」

「…ちゃんと、遅くなる前に帰せよ」

「え?」

「箱入り息子だから」

「はこいりって、何だよ〜それ。岳人?」

「こいつに何かあったら、氷帝のキングが乗り込んでくるぞ」

「……跡部か」

「ついでにこいつの居場所も、王様には筒抜けだから」

「芥川にGPSがついてるって、本当じゃったんか」

「まぁ、なりゆきでだけどよ。そのおかげで迷子のこいつを何度も跡部が見つけてきたんだし」

「ね〜岳人、何の話?」

「お前はいいから。丸井、くれぐれも―」

「………わかった」




「ブン太。『順序』じゃけん」

「…わーてる。今日は『初デート』だから」

「頑張りんしゃい」

「……3回目だな、それ」





「岳人、ばいば〜い」

「夜お前んとこ行くからな」

「えぇ〜?よくわかんねぇけどわかったー。お母さんにいっとく〜」






「あいつら、大丈夫か…ていうか丸井って、どーなんだ」

「わかってないだけで根はちゃんとしとるけん(多分)」

「ならいーんだけど」

「とりあえず駅前、行くか?」

「は?」

「あいつらが行く新しいゲーセン、駅前じゃけ」

「つけるのか?!」

「別にどっちでもよか」

「……」

「向かいのカフェから、ゲーセンがよく見える」

「……行く」








「すっげぇ〜ちょー広いね、ここ」

「だろい。オープンしたてだから人多いけどな」

「初めて?」

「この前、赤也とジャッカルときた」

「切原ってことは、格ゲー?」

「そ。赤也、なかなか強ぇんだよなー。負けねーけどさ」

「ジャッカルも?」

「アイツはいろいろだな。音ゲーとか、車のときもあるし」

「クレーンゲームうまいよね」

「キャッチャー系は仁王のほうがうまいけどな」

「あー確かに。におくん、2〜3こまとめてとっちゃったりするもんね〜」

「なんか欲しいモンある?」

「キャッチャー?」

「おう。あ、ほら。『ナイトメアビフォアクリ●マス』」

「あ、ほんとだ!」

「ジロくんの妹、好きなんだよな?」

「うん!でも、ハロウィンまだなのに早いね」

「なー。」

「あ、ゼロだ!」

「この犬?ジャックじゃなくて、ゼロがいいのか?」

「うちの妹、キャラ全部好きなんだけど、ゼロが一番好きだから」

「よっし、任せとけ!」





「すっげぇ!!丸井くん、まじまじすっげー!!一発だC!!」

「ま、こんなモンよ」





「さっすが丸井くんっ!!」

「ほら、ジロくんのいもーとに」

「ありがと〜!!ちょー嬉しい!!かっけぇ〜!!」

「ジャックもついでにとっとくか?」

「あ、じゃあオレ、両替してくる」

「いいよ、俺100円持ってるし」

「ダメだよ、ゼロ貰ったもん。ちゃんとオレ、出す」

「いーって。こんくらい奢らせろい」

「えぇ〜?」

「よっし、じゃ取るぞー」






「わー凄っ!!信じらんねー!すっげぇ!何で一回で取れるの?」

「まぁ、経験とセンスだな」





「はい、ジロくん」

「ありがと〜」

「……かわいい」

「へ?」

「ジャックとゼロ持ったジロくん、まじ可愛い」

「えぇ〜何言ってんの」

「ほんと。お前、なんでこんなに似合うの?」

「う?」

「高校生の男でぬいぐるみが似合うって、ジロくんくらいだな」

「え〜?丸井くんも似合うよ〜ほら、持ってみて」

「ばーか。お前が可愛いんだから、持っとけ」

「えぇ〜?」

「袋もらう?今日リュックじゃねーし」

「だいじょうぶ〜持てるから」

「…どこかに置き忘れそうだな」

「ぶー、そんなことしねーし」

「帰りの電車で寝て、起きたら慌ててホームおりてコレ忘れる図が見える…」

「柳みたいなこと言わないでよ」

「袋貰ってくるから、ちょっと待ってろい」

「えー?だいじょーぶだってば」

「いいから。動くなよ?」




「あ、行っちゃった……丸井くんから貰ったもの、忘れるわけないC。
(妹にあげちゃうけどさ)」




「おかえり〜」

「おう。ほら、袋。これにいれて」

「は〜い」

「じゃ、あっちいくぞ」

「格ゲー?」

「それか、車か、音ゲーか。何がいい?」

「丸井くんがいつもするやつ」

「じゃとりあえず格闘系いっとくか」

「うん。見てるから、ちょっとやってみて?」

「ジロくん、やんねぇの?」

「オレ、そんなにうまくねぇもん」

「そんなの関係ねーよ。対戦しよ?」

「でもでも、丸井くんちょー強いんでしょ?」

「まぁ、この界隈ではそこそこ」

「一瞬で負けちゃうC…」

「いーって。楽しいからさ、やろーぜ」

「とりあえず一回見せて?」

「えー?」

「お願いっ!」

「しゃーねぇなぁ」





「すっげーっ!!丸井くん、圧勝だね」

「まー、慣れた機種だしな」

「『BUNBUN』?」

「あぁ、オレのゲーム時のハンドルネームみたいなモン」

「1位がブンブン、2位がペテンシ、3位がレッドデビル…これって」

「俺が1位、仁王が2位、で次が赤也だな」

「レッドデビル…」

「痛いハンドルネームだろ」

「それに、ペテンシ?」

「ああ、それは仁王が入れようとしなかったから、俺と赤也でかわりに入力しただけ」

「におくんも、強いんだね」

「俺には負けるけどな!」

「ふ〜ん」

「じゃ、ジロくん。向かいに座って」

「え?」

「対戦すっぞ」

「えぇ〜?1位相手に?オレ、まじまじ弱いよ?」

「いーから。手加減すっから。やろーぜ」

「…呆れないでね」

「ほ〜ら、じゃあやるぞー」






「わっ!だめッ、丸井くん、待って!!」

「待てといわれて待つヤツがいるかよ」

「やっ!」

「ほらジロくん、頑張れ」

「連続コンボなんてしないでよ。もう死んじゃうC」

「ジロくん、そんなに弱くねーじゃん」

「どこが!?ライフポイント全然無ぇもん」

「まー、もうちょっとだな」

「あぁ〜……負けちゃった」



「ジャッカルよりは強いぜ」

「そんなの当たり前だC!」

「へ?」

「ジャッカルはこの前倒したもん!切原には負けちゃったから…1位の丸井くんに勝てるわけないよ〜」

「倒した?赤也にも負けた?」

「うん。切原は接戦だと思ったんだけど。負けたあと『ジローさんの負け。弱いっすね』って言われたし。。」

「…ちょっと待って」

「うん?」

「いつ、ジャッカルと赤也とゲームしたんだ?」

「げぇむ?」

「対戦したのか?俺、ジロくんとゲームセンターで格ゲー対戦したことねーよな?」

「丸井くんとはしたことないね」

「俺『とは』?他のヤツと、きたの?」

「ココは初めてだけど、先月立海きたときにジャッカルと切原と遊んだー」

「なんで?」

「う?」

「ていうかジロくん、先月きた?」

「うん。でも、立海は自主練習だったから、丸井くんいなかったけど」

「先月……」

「コートいったらいなくてさ。1年生が自主練習してるだけだった。
でも切原がいて、丸井くんは帰ったって」

「先月の自主練習……あ」

「丸井くんいなきゃしょーがないから帰ろうとしたんだけど、切原がどこか飯食いにいこーって誘ってくれた」

(……駅前でナンパされたオネーサンにフレンチご馳走になった日、か)

「『ラーメン桑原』の冷やし中華がもう終わるって言うから、二人で食べにいったんだよ」

(そのままオネーサンのマンションで……って、『二人でゴハン』だと?!)

「ジャッカルも家にいたから、そのあとゲームセンター行ったんだ。丸井くんもいれば、もっと楽しかったのにね〜」

(赤也………シメる!!)




「…そっか」

「えへへ。もっと特訓して強くなるね」

「ん?」

「ゲームも強くなって、丸井くんに勝つC!」

「?」

「強いほうが、丸井くんも楽しいでしょ?」

「ジロくん…」

「手始めに、切原をコテンパンにするっ!!」

「……よし、ジロくん。特訓だ」

「うん!」

「うちに同じゲームあるから、それでやろう」

「丸井くんち?」

「おう。これから行こーぜ」

「でも、もう夕方だよ?ごはんの時間じゃないの?」

「うちで食ってけばいーじゃん」

「急だし、丸井くんのおかーさんもびっくりするよ」

「だいじょーぶ。ジロくんしょっちゅー来るから、慣れてる」

「でもでも、ご飯いただいたら遅くなっちゃう」



「…泊まればいーじゃん」

「え?」



「もっと一緒にいたい」

「まるいくん…」

「ただでさえ家が遠いんだ。休みくらいずっといたい」

「……えへへ、照れるC」

「くっ…(やべぇ、やっぱ可愛い、こいつ…)」
な、ジロくん。今日うちに泊まっ―」

「今日はダメ。岳人がくるもん」






―『…ちゃんと、遅くなる前に帰せよ』







「……あ。」

「オレも丸井くんともっと遊びたいけど、今日はゴミンネ?」

「……」

「おかーさんにも言ってないから、ご飯作ってると思うし」

「…じゃ、しょーがねぇよな。

(仁王にも『順序』って言われたしな…)」

「あ、それとも丸井くんがうちくる?」

「……え?」




「それがいいかも!岳人くるから家帰んねぇといけないけど、丸井くんが来るのはオッケーっしょ」

「ジロくん?」

「ねぇ、丸井くん。今日うち、泊まる?」

「……」

「うちは岳人や宍戸もしょっちゅー泊まるから、急でも全然問題ないC。丸井くんならおかーさんも大歓迎だよ」

「……」

「この前のゼリーもすんごい美味しいって喜んでたから」

「……」

「あ。それとも、丸井くんのおかーさんもご飯用意してるから、急じゃダメかな」

「そんなことねぇ!……あ。」

「じゃ、おっけー?ね、丸井くん。うち、いこ?」

「………行く」

「やっりぃ!!じゃ、おかーさんに電話してくるね。待ってて」

「……うん」







『…どうした?』

『ブン太からメール……って、あいつ』

『なんだよ』

『【これからジロくん家行くことになった】、と言っとるが』

『あんだと?!』

『芥川が熱心に誘ったようじゃが…』

『あんのバカ…』

『一応断ったようだが、誘われて断りきれなかったようじゃけぇ』

『……』

『どうするん?』

『…俺も泊まるしかねーだろ』

『向日?』

『もともと、夜ジローんとこ行くって伝えてあるし』

『そうじゃな』

『…お前も来てくんねぇ?』

『は?』

『俺一人でラブラブカップルの間にいるのは居心地悪ィ』

『なら放っとけばよか』

『ジローは幼馴染だ。放っとけるかよ』

『けど、アイツらは付き合いたての恋人同士じゃけぇ、邪魔するのも野暮な話』

『ジローは泣いたんだ!』

『……』

『丸井は慣れてっかもしんねーけどよ、ジローはまっさらで何も知らねーのに』

『…木曜日のことか?』

『丸井から聞いてんのか』

『詳しいことは聞いとらんけぇ』

『な、な?頼むよ。ジローの部屋、4人くらいは寝れるし』

『……』

『お前だってジローとも仲いいだろ?』

『…まぁ、そうだな』

『ジローが可愛いだろ?』

『……まぁ、アイツは一般的に可愛がられるタイプじゃけぇ』

『俺だけじゃいざというとき、丸井を止められる気がしねぇ』

『……』

『頼むよ』

『…いつかは二人もそういう関係になるじゃろ。付き合っているなら』

『それは、わかってるけど』

『今のうちに「恋人同士」である二人に慣れておくほうがええんじゃなか?』

『……けど、それは、「今」じゃねぇだろ』

『向日…』

『俺だって、ジローがいいなら、別に反対しねぇし、いーけどさ。
でも、あいつ泣いたんだろ?なら、せめて泣かないように、パニックにならないくらい丸井に慣れるまでは…』

『…まぁ、ブン太も反省しとるけん』

『本当かよ。「立海の遊び人」が』

『まー、そう言わんと。他全てと手を切って、芥川一筋だ』

『……』

『芥川がいるのに、他となんてありえない、と言い切ってたぜよ』

『……』

『ただ、根本的に「恋人付き合い」をよくわかってないだけじゃけぇ、アイツも芥川と同じでお付き合い初心者なモンでな』

『「手を切る」くらい、他に色々いたのか』

『……あ。』

『…今夜、丸井を問いたださないといけないみてーだな』

『芥川に対しては真面目やけん』

『保険で侑士も呼んどくか。いや、ジローが嫌がるか…じゃ、やっぱ跡部?』

『おい、向日?』

『跡部がきたら話どころじゃねーな。丸井を抹殺しかねない』

『なんじゃ、物騒な』

『おまえら立海は、跡部がどんだけジローを大事にして甘やかしてるか知らねーだろ』

『…跡部、というか氷帝全体で甘やかしてるだろ』

『まぁ、そうともいえる』

『跡部は止めときんしゃい。いくらブン太でも、跡部相手は―』

『じゃあ、仁王が来い』

『……』

『俺は別に跡部でもいい。丸井に肉体・精神・社会的制裁を加えるかもしんねーけど』

『……』

『けど、お前がくるなら丸井のストッパーとして期待するから』

『……ブン太は、きっと大丈夫やと思うけど』

『んなのわかんねーじゃん!そうやって二人にして、またアイツがジロー泣かせたらっ!!』

『あーわかった、わかった』

『仁王!』

『俺も行くけん、跡部には言わないでおいてくれ』

『サンキュ。ていうかお前も一応、丸井のこと考えてんだな』

『一応クラスメートでチームメートなもんでな。(相談されとったのもあるし)』

『よし、じゃあおばさんに連絡すっか』

『急に押しかけて大丈夫なんか?』 

『あー平気平気。あそこんち、そういうの寛大だし、しょっちゅー急につれてくから』

『わかった』

『お前んとこは大丈夫なのか?親は』

『ウチは放任じゃけぇ』

『じゃ、行くか』

『あっちと合流するか?丸井と芥川、まだゲームセンターにおるけん』

『そうだな。ジローにメールする』

『あぁ』





「ん?あ、岳人だ」

「向日?」

「うん。えーっと、なになに……におくんとの用事が終わったから、帰るだって」

「あ、俺も仁王からメッセージ……はぁ?!」

「う?どしたの?」

「…や、何でもねぇ。
(向日はまだしも、アイツも来るって、どういうことだ?!」

「いまこっち向かってるみたい」

「…うん」

「におくんも来るって〜」

「ジロくんにも連絡きた?」

「ん?うん。岳人がね。におくんと岳人もオレん家泊まるって〜」

「……」

「みんなでゲームしよーね?岳人、格ゲーうまいし!!」

「…そっか」

「あ、そーだ。岳人んとこからゲーム機とソフトも借りよ〜っと。対戦しよ?」

「…うん」

「えへへ。丸井くんもすっげぇけど、岳人とどっちが強いかな〜?」

「向日、そんなに強ぇの?」

「うん!オレより全然!」

「へぇ」

「楽しみ〜」

「…どっち応援する?」

「へ?」

「俺と向日。対戦したら」

「う〜ん」

「(悩むのか?!)」

「どっちも格ゲー敵わないしなぁ〜でも、岳人が対戦するときはいっつも応援してるC」

「……」

「えへへ。でも、こっそり丸井くん応援しちゃうなぁ」

「…!」

「岳人には内緒だかんね?」

「ジロくん…」

「オレ、何に対してでもきっと丸井くんを応援しちゃうんだ」

「…っ」



「丸井くんのこと、まじまじソンケーするし、大好きだもん!」

「ジロくんっ!!」



「わっ!!」






「こら、お前ら、何してるっ!!」

「ブン太…」






「あ、岳人」

「げ、仁王」





「まるいくん、く、苦しい…」

「わ、悪ぃ、つい」

「お前ら…つーか丸井!公衆の面前でジローを抱きしめてんじゃねぇ!」

「ブン太…タイミング悪すぎじゃけぇ」

「何だよ、急に出てくんなよお前ら」

「場所を考えろ!往来のど真ん中―」

「じゃあジロくん家ならいーのかよ」

「あぁ?!」

「しょーがねーじゃん。こいつ可愛いし」

「だからってー」







「…ねぇ、におくん」

「なんじゃ」

「何で岳人と丸井くんが言い合ってるの?」

「…さてな。お前のことじゃけぇ」

「オレ?」

「とりあえず移動せんと」

「におくんも今日、うち来るんだよね?」

「あぁ、急にすまんな」

「ううん!全然。におくん、格ゲー強いんだよね?」

「まぁ、普通くらいは」

「2位だったC!」

「…2位?」

「『ペテンシ』でしょ?1位が丸井くんのブンブンで、3位が切原のレッドデビルだった」

「……あいつら、勝手に登録したんか」






「だーかーらー、急すぎるっつってんだよっ!!」

「急も何も、まだ何もやってねぇだろい」

「なんだと?!じゃあ何か?何もやってないのにジローが泣いたとでも?」

「うっ」

「手が早いのもたいがいにしろよ?!」

「だー!!俺だってちゃんと考えてるっちゅーに」

「本当だろうな」

「マジだ」

「またジロー泣かせたら………跡部が出てくること、忘れんじゃねぇぞ?!」

「げっ…そりゃ勘弁だろい」

「跡部に言えないようなこと、するつもりー」

「っていうかアイツには何言ってもダメだろーが!」






「…ねぇ、におくん」

「なんじゃ」

「あの二人、いつ終わるの?」

「さてな。跡部でも呼ばんと終わらんかもしれんけぇ」

「あとべ?オレ、電話したほうがいい?」

「……止めんしゃい。ややこしくなるけん」

「?うん」






「ブン太!向日!いい加減にしんしゃい」

「岳人〜、帰ろうよー」

「話し合いなら移動してからすればよか」

「これ以上遅くなると、おかーさんに怒られるC」





「「……」」





「とりあえず、続きはジローん家でだ」

「…まだ言い足りないのかよ」

「ったりめーだろ」

「はぁ〜。ったく、過保護な幼馴染だな」

「あんだと?!」

「なんでもねーよ」





めでたくお付き合いと相成った丸井ブン太くんと芥川慈郎くん。
しかし、二人の歩みはどうなることやら…。
慈郎くんには最強に過保護な幼馴染がついており、さらに強力な親ばか保護者な同級生が何人も。。。
丸井くんは本懐を遂げることが出来るのでしょうか?
その後も仁王くんに逐一相談する丸井くんの姿が、立海大付属高校の教室、テニス部部室、コート内、部活後のファーストフード……と、あちこちで見かけられるのでした。




(終わり)

>>目次
****************

月曜〜日曜までの毎日更新ブンジロ会話文、二人の一週間でした。

曜日を重ねるごとに、だんだん長くなるんだC。
ちょうどテニフェスと重なって3日くらいパソコンいじらなかったので、中々続きが難しかった『日曜日』でした。
丸井くんには本懐は遂げさせてあげずに終了ですっ>え。
ゴミンネ。

本当は初デートでどきどきしていっぱいいっぱいになって、自分の心境の変化に戸惑う丸井くんを書きたかったんですけど……日曜21時をこえて、ワテクシがいっぱいいっぱいになりました>え。
いつか番外編として真っ赤になる丸井くんの心境を付け足したい。。





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