間接照明のあかりが薄暗い部屋を照らし、ベッドのうえで絡み合う二人を映している。 なすがままにされている男は動かず、その眼鏡の奥で何を考えているのか、自分の上で一定のテンポを保ち揺れる彼に見向きもせず壁をながめている。 しかし、その両手をしっかりと彼の臀部に添えて、食い込むくらい強い力で押さえ、彼が少しでも休もうとリズムが遅くなると、許さないと言うかのように力を加え、動くよう促す。 「ひぅっ…」 「いけませんね。リズムが落ちてますよ?」 「うっ…はぁ、はぁ…っ」 「まだ大丈夫でしょう?しっかり動きなさい」 「ひっ、あ、あ、やっ…」 下から思いっきり突き上げると、小柄な体が勢いよく跳ね、仰け反らせた喉元があらわになる。 そのままそこに噛み付き、痕が残るくらい強く吸い上げたら、苦しげな悲鳴をあげ、眦からは透明な涙を流しいやいやするかのように首をふった。 「もう、やめっ……」 「まだ言いますか?こりませんね」 「あぁっ、ひぃ…っ」 「もう少し頑張らないと、終わりませんよ?」 「がんばっ…てる、もんっ…」 「これは失礼。では、私は手伝うのを止めましょう」 動かしていた下からの突き上げをやめて、再び彼に動くよう促して楽しそうに眺める。 掴んでいた臀部をパン、パンと音をたてて叩くと、びくっと震えながらも、ゆるゆると動きを再開する。 「うう…っ…ん…はぁ、はぁ」 「気持ちいいですか?締め付けが強くなりましたよ」 「あ…ん…っ…、言わな……で」 「なんででしょうね。あなたはつい責めたくなる…」 「やっ…おっきくなっ……だめ」 「まだ出してはだめ、ですか?」 「ちがっ…」 限界を迎えそうでそこまではいかない。 彼のゆるやかな動きが最後の最後を後押しするには弱い快感。 ずっとこのままでいるのもある意味楽しいのだが、何度も達している彼とは違い下で支える自分はまだ、ただの一度も放ってはいない。 忍耐強い方ではあるけれども、そろそろこの体勢でいるのもあき――はしないが、他のこともやりたい。 先ほどから言葉と下からの数度の突き上げ、そして彼を支える両手で何度か促してはいるものの、悩ましげに眉を寄せて頬を上気させ、腰を動かしている彼にはこれが精一杯なのだろう。 「そろそろ私も出せてもらいましょう」 「はぁ、はぁ、っ……え?」 「しっかし捕まってくださいね」 「ーっ、あぁぁああーっ」 「くっ…、イイですよ、ちょうどよく締めつけてくる」 「ああんっ…うっ、あ、あぁ」 速いリズムで下から突きながら、支えている臀部を思いっきりつかみ、跳ねようとする体を押さえつけるため、彼の感じる奥深くまで届く。 何度も何度も奥まで抜き差しされ、あまりの快感に頭が真っ白になり、限界を迎えたのか一際高い声をあげたあと先に達した。 「いけませんね、私を置いていくとは」 「ひぃ…っ…、あぁぁん」 続けて彼の最奥を思いっきり突いたところで中に盛大にぶちまけると、その衝撃で涙で濡れた表情がゆがみ、わなわなと声にならない悲鳴が口をついた。 「はぁっ、はぁ…っ」 息を乱す彼の呼吸が整うのを少し待ったのちに、中から己のものを抜いて、彼の口元へ持っていく。 「では、綺麗にしてください」 「ーっ!!」 抗議の声でもあげようとしたのか、それとも懇願の声か。 キっと睨みつけてくる彼が声を発する前に、濡れた口元に己の先端をつけ、あけるよう促す。 「ほら、口を開けてください」 「んっ…」 睨みつけながらも一瞬泣きそうに顔を歪めるが、何を言っても無駄なのをわかっているからか。 諦めて唇をひらき、先ほどまで自身の体内を好き勝手動き回っていた彼の大きなモノを迎え入れる。 「わかってますね?歯を立てたら、潰しますよ」 「んんっ」 彼の喉もとへ左手をそえて、少し力を入れると苦悶の表情を浮かべる。 弱弱しく首をふって従順を示す彼に満足したのか、あいている右手で金糸の髪をすいて、もっと奥まで咥えるよう頭をつかみ、押した。 「ううっ…」 苦しげな彼の表情がたまらなく嗜虐心をそそるようで、眼鏡の奥の双眸が満足げにゆれる。 「愛してますよ」 * * * 「ーというところで終わった」 「………」 「酷い話じゃけ…」 「………」 「浮気も許せんことやけど、よりによって相手が柳生」 「………」 「許せるわけがなか!」 「………」 ベッドに寝そべる恋人を上から押さえつけて切々と訴える。 銀色の髪が腕の中の彼の頬にかかるくらい近くに顔を寄せ、じっと両目を見つめる。 「なんで柳生?」 「………」 「俺のパートナーで、親友だと知っちゅうに。なのに、なんで…」 「………」 細い首筋の、左側につけられた情欲の痕を忌々しく睨みつけて、反対に右側へ噛み付くように唇をつけて、強く吸い上げる。 「っ…」 ちくっと痛みが走り、先ほどまで無表情だった慈郎の顔がゆがむ。 「俺以外の男に痕つけさすなんて、許せんぜよ」 「……ねぇ」 『柳生』のつけた首筋の左側に残る痕をなで、その上から自分の痕跡に上書きしようと唇をつけたところで、組み敷いた彼に銀髪を掴まれた。 「痛っ!思いっきり掴むんじゃなか」 「どこまで付き合えばいいの?オレ」 「……最後までに決まってるけん」 「………ちなみにどこが最後なワケ?」 「浮気を責められて罪の意識にさいなまれ、言われるがままの性の奴隷にー」 「誰の何の官能小説読んだんだよ。ドレイって」 「いいか?お前は俺の留守をいいことに柳生を招きいれて、よりによって俺のベッドであいつと乳繰りあってー」 「今どき、ちちくりあうって」 「最後まで聞きんしゃい」 「はいはい」 「普段俺にはあまりしてくれないのに、柳生の上にのってアンアン言いながら腰ふって」 「………」 「さらに柳生のモンをくわえてしゃぶって舐めて、口ん中でイカせて飲むなんてマネを」 「……柳生も可哀想だよね。こんなのが親友で。 ていうか痕つけたのお前だし」 日曜の昼下がり。 だらけた生活よろしく、大学生二人の休みの過ごし方の一つ、ひたすらベッドでそれこそ乳繰り合う一日。 慈郎はせっかくの休みなので遊びに行きたがるが、肝心の仁王はというと、恋人とせっかくゆっくり出来るのに出かけたくない、と家でだらだらイチャイチャ過ごしたがる。 ベッドにいたいというのなら、それこそベッドで寝ていたいです!との慈郎の言葉なんて聞くはずもなく。 今日も今日とて、外は雲ひとつない快晴だというのに、真昼間からカーテンをしめてクーラーをかけ、涼しい室内での激しい運動。 何度目か果てた後で、ベッドに突っ伏した彼が静かだったため顔を覗いてみると、珍しく意識を飛ばしたのか、眠っていた。 慈郎が気を失ったり、先に寝てしまうのはしょっちゅうあるが、逆はあまり無い。 仁王のほうが先にダウンするなんて無いことだけど、疲れていたのかな?と思うことにして、しばらく様子を見ていた。 さきにシャワーを浴びようかとも思ったが、抜いたとはいえ上に覆いかぶさったまま眠っている男はどきそうにない。 まぁ、まだしばらくはいいか、と少し苦しい体勢のまま、枕元のバッグからマンガ本を取り出して読んでいると、10分ほどで仁王の目が覚めた。 よくもまぁ、この10分でそんなことになったもんだ。 「……どいてくんない?」 「……」 「シャワー浴びたいし」 「……もうちょっと」 「ったく………じゃあ、交代ね」 呆れたように吐息を零すと、体を入れ替えて反対に仁王を押し倒す。 そのまま軽くキスをして、彼の中心に手を伸ばし、ゆるゆると刺激を加えて促してやる。 「っ…」 「しょうがないでしょ?仁王がいなかったときに、ちょうど柳生が来たんだから」 「!」 「合意だったわけだし、そりゃお前には悪いけどね」 「くっ…」 たちあがってきた仁王の中心に、満足気に微笑んで自身の後孔にあてた。 「…おい」 一瞬正気に戻ったのか、急に挿れる体勢をとった慈郎に怪訝な表情を浮かべたが、10分前に交わっていたことを思えば受け入れやすくはなっているのだろう。 「どっちが気持ちいいのか、確かめてみよっか」 挑戦的な目で仁王を見つめ、そのまま腰をおろして中に迎え入れた。 「んっ…」 まだ中に先ほどの仁王のモノが残っているからか、抵抗なくするっと奥まで収まる。 意図的に締め付け、ゆっくり動いてやると、急な快感に仁王の頬も上気し、目に色が宿る。 「動くなよ?柳生だって自分から動かなかったんだろ?」 「…たまに突いていたぜよ」 「お前は動くな」 「わかったナリ」 ぎりぎりまで上にあがり、ストンといっきに腰を落とすと奥の奥まで届いて、たまらない快感が生まれる。 ただ、『柳生に奉仕していた慈郎』はゆっくりとしか動けず、イカせてやるにはあと一歩だったらしいので、その『慈郎』とは違うんだよとでもいわんばかりに、激しく腰を動かした。 「あんっ…はぁ、はぁ」 「くっ…はぁっ…」 「ねぇ…っ…ナカで、イきたい?」 「っ……出して、ええんか」 「お前が…っ…あんま、バカなことばっか言うからさ」 「……プリ」 「ほら、出せよ」 キュっと中のモノを締め付けると、堪えられなくなったらしく、仁王の体から力が抜けて、奥に思いっきり熱い迸りがぶちまけられる。 「はぁっ…はぁ」 「ふぅ……ったく、コレで解決?」 「はぁ〜良かったっちゃ〜」 「そりゃどうも」 「柳生よりええじゃろ?」 「え、なに?まだ続くワケ?」 「…ショックやったけん」 「………たった10分の間にみた夢を、よくもまぁ鮮明に覚えてるモンだね」 「悪夢だ…」 「夢でしょうが」 「夢でも、お前が俺以外の男を咥えるなんぞ、許せるわけがなか」 「くわえるって…(だから何の官能小説読んだんだよ)」 「抱き合うお前と柳生みて何もできん自分に腹が立って、ずっと泣いてた」 「夢で泣いたの?」 「涙で溺れるかと思った」 「………ごめんね?」 「もっと優しくしんしゃい」 「うん」 「いっつもヤダヤダ言っとらんと、たまには恋人のお願い聞くモンぜよ」 「…うん」 「じゃあ、一緒に風呂に入」「やだ」 「おい」 「…わかったC」 「寝るときも腕の中でー」 「暑いからヤ」 「クーラーつける言うとるき」 「ずっとつけると寒いからヤ」 「ドライにする」 「仁王だって暑いの苦手じゃん…なんでベタベタしたがるの?」 「イチャイチャ!」 「…一緒だC」 あーだこーだ続けることこの後10分。 結局、ノリで中に出させた慈郎がハッと我に返り、後始末!と風呂場に直行する後を仁王がついてきて、さらに風呂場で『一緒に入る』『入ってくるな!』で5分。 その後は始終、『暑いから寄るな!』『乳繰り合わせろ!』の言い合いは夜まで続いたらしい。 仁王の夢に出てきたせいで勝手に間男とされた柳生くんにはごめんなさい。 (終わり) >>目次 ********** 普段かかないカプを書こうと思ったのですが、普通に柳生ジロ書こうとしても書けない…となり、こういう形式になりました。 プリガムレッドなカプで、夢オチでした〜ならどんな人×ジロちゃんでも書けるんだC。 におくんの間男は、やっぱり柳生ということで。 しかし愛ゆえか。後半のにおくんとのやりとりの方が長いんだC。 におくんのマイペースに巻き込まれるジロちゃんも好きなんですが、におくんをあしらうジロちゃんも好きなのです。 こういうのは丸井くんだとスラスラ書けるんですけどね〜>ワテクシのブンジロにおいて、まるいくんをあしらうジロくんがデフォルトだからか。 におジロはもっと大人っぽい感じにいきかけて、一番学生っぽいカプになりそうな。 |