彼氏がまじまじ不安定なんです1

*会話文




「はい、飲んでみて」

「うん?」

「新配合ジュース」

「なに、この色」

「カムカムの濃縮液と、ノニジュースと、ゴーヤと、セロリと、バナナをだな」

「ノニ入れないでよ。あれ、まじまじ無理だC」

「健康のためだ!」

「何事にもバランスがあるでしょうよ。いつも味にはウルサイのに」

「そこをバナナでマイルドにだなぁ」

「なったわけ?」

「ノニって凄いよな」

「…だめじゃん」

「なんでもマイルドにするバナナを打ち消す存在感」

「バナナ意味ねぇし」

「いや、ちょっとは役にたってるはず」

「フルーツ、バナナだけ?」

「プラムもいれてみた」

「……味見していれたの?」

「かなり熟れてたからちょうどいいかな〜と。ま、ともかく飲め」

「毒々しい色…これ、何のために飲むの?」

「健康だっつーの」

「オレ、どっこも悪くないC」

「悪くなくても飲むの!」

「新しいミキサーで色々遊びたいたけでしょ?」

「すっげぇよな〜あれ。ジューサーにもなるし。毎朝野菜ジュース作ろうかな〜」

「ミックスジュースがいい」

「フルーツより野菜のほうが原価安いから、毎日野菜ジュースでたまにミックスだな」

「青汁のみなよ」

「水で溶くやつ?そういやこの前、謙也にもらったのがまだダースであったか」

「ケールのヤツね」

「野菜ジュースに混ぜてみるか」

「アレはアレで完成してるからそのまま飲めばいいんじゃないの?」

「青汁作ってみるか」

「は?」

「大麦と、ケールとー」

「…誰が飲むんだよ、それ」

「味見しろい」

「ヤだ。苦いのキライ」

「甘くするっつーに。リンゴいれてやるから」

「だったら普通にリンゴジュースか、リンゴ食べる」

「ったく。しゃーねぇなぁ」

「…で、これ。飲まなきゃだめ?」

「当然じゃん」

「……酸っぱいニオイがする」

「んなことねぇだろ。カムカムか?」

「生じゃないんだからそんなに酸っぱくないんじゃないの?」

「ささ、飲んで」

「……ん」

「ほら、ぐぐっと」

「……」

「どーしたんだよ。いつもならとりあえず飲んでみるだろい」







「なんでそんなに飲ませたがるの?」

「へ?」






「いつもなら、オレにもくれるけど、とっとと自分で飲んじゃうじゃん」

「……」

「オレの感想も求めるけど、とりあえず先に飲むのに。ソレ、まだ口つけてないよね」

「……いや、新作だから。とりあえずジロくんに最初に飲んでもらいたいな、と」

「毒味?」

「いやいや」

「まるいくん、味見したの?」

「ちょっと舐めたくらい。まぁ飲めなくはない」

「オレのやつ、心なしか丸井くんのグラスより色、薄い?」

「そうか?」

「丸井くんのヤツのほうが、なんかドロっとしてる??」

「そりゃ、ジロくんのは上からー…いや、何でもねぇ」

「ちょっと。何言いかけた?いま」

「なんでもないです」

「なんか変なの入れたんじゃないだろうね」

「ば、ばか言うな。んなことするわけねぇだろい」

「信用無いの、わかってる?」

「悲しいな。信じてもらえないなんて」

「この前ジュースに睡眠薬いれたの、どこの誰だよ」

「人聞きわりぃだろ。あれは睡眠薬っつーか、ちょっと眠くなるのを助けるささやかなー」

「それを睡眠薬っていうんでしょうよ」

「おまえが寝れないっつーから、仁王がだな」

「仁王ってところがまず怪しいんだよ!」

「あー、あいつ傷ついちゃうな」

「ていうか恋人をクスリで眠らせるって、どうなんだよ」

「害はねぇヤツだったろ?」

「……まぁ、そうだけどさ」

「比呂士が許可したヤツだし。ただ、気分が軽くなってリラックスできて眠くなる〜って」

「それで眠くなったのはともかく、大人しく寝かせてくれたんですっけねぇ?!」

「どうだったかな」

「眠れそうだったのにいきなり乗っかってくるなんて、まじまじありえないし」

「いや〜俺もゆっくり寝かせてやろうかと思ったんだけど」

「ベッド連れてってくれるだけでいいのに、何で脱がせるのさ」

「夜の運動すれば、もっと深く寝れるかなーと」

「バカ!」

「なんだよ。腰ふってすんげぇ喘いでたじゃん。気持ちよかっただろ?」

「っ!!あのねぇ」

「意識とんだあと一日中寝てただろい」

「朦朧としてるときに襲うな!」

「愛し合おうとした、といえ」

「もぉ〜ったく。次やったら怒るかんね!」

「だってジロくん、寝入る寸前に目がとろんとしてくるとすんげぇ色っぽー」

「それが襲う理由になるか!」

「襲うって、お前なぁ」

「オッケーしてないでしょ」

「ダメとも言ってねぇ」

「言ってるC!」

「あー、善処します」

「すぐ忘れンなよ」

「へーへー」

「はぁ……疲れた」




「!ほら、疲労回復。飲め」

「……コレ?」

「ビタミン栄養、疲労回復もバッチリなスムージーだ」

「こんな色のジュース、見たことねぇし」

「物は試しだろい。何事もトライだ!最初の一歩がかんじんだ」

「じゃあ、まるいくんから飲んでよ」

「俺は味見したっつーの」

「……コレ単体、飲むの勇気いるというか」

「素材はどれもオーガニックだし、悪いモンは何もねぇから」

「プリン」

「は?」

「冷蔵庫から、プリンとってきて」

「パス○ル?それともセブンイレ○ンのやつ?」

「なめらかプリン。甘いのほしい」

「はいはい」

「ついでにアイスコーヒーも」

「スムージー飲めっての」

「飲むよ。コレは飲むから。口直しほしい」

「しゃーねぇなぁ。シロップいれるか?」

「いらな〜い。ブラック」

「ストローさす?」

「いらな〜い。氷いれて」

「はいよ」

「いってらっしゃ〜い」

「へーへー」









(行ったか……うへぇ。
すんごい色と、微妙なニオイだC。
なんだよ、このジュース。

ていうか……なんか、怪しいんだよなぁ。
あ。そっか…………これでよし)







「ほら、プリンとコーヒー」

「ありがと」

「どういたしまして」

「じゃ、一気に飲んじゃおうかな」

「おう。感想シクヨロ」

「まるいくんも一気に飲む?」

「いや、せっかくだし味わってー」

「おかしなニオイするよ?これ」

「そうか?出来たてはそうでもなかったんだけど」

「酸っぱいのと青臭いのと熟れた感じのと」

「う〜ん、何か余計なの入れたっけか」

「ま、健康のためなんでしょ?」

「おう。全部のめ」

「はいはい。まるいくんも全部ね」

「よし、じゃあ一気いくか」

「は〜い」









「「せ〜のっ!!」」








「う゛ぅぅ〜っ、まじまじまっずい」

「ぐっ……これは、ちょっと失敗だな」





「底に沈殿してるヤツ、すっごい威力…」

「飲む前にもっかい混ぜるべきだったか」

「それだけでも無い気がするけど」

「まー、健康のため、ということで」

「……口直ししなきゃ。プリン〜」

「チョコとプレーン、どっちにする?」

「まるいくんも食べるの?」

「当たり前だろい」

「あっそ」

「ジロくん、プレーンでいい?」

「なに?チョコ食いたいの?」

「うん」

「どーぞ」

「さんきゅ」

「飲み物はいいの?アイスコーヒーちょっと飲む?」

「いや、大丈夫」


「じゃ、いただきま〜」「なぁ、ジロくん」



「う?」


「気分どう?」

「は?」

「なんか、熱くなってきたとか、興奮してきたとか、ぽかぽかしてきたとか」

「なんで?」

「いや、そりゃあ…」




(……まさか本当に何か入れてた?)




「べっつに〜、平気」

「まじで?」

「なんだよ」

「……いや、別に」

「後味もモワァ〜っとしたけど」

「うん、ちょっと失敗だな、あれ」

「でも、何なのさ。ぽかぽかするようなもの、入れてたわけ?カプサイシンとか?」

「辛くなかっただろ、ってか果物と野菜だけだっつーに」

「うん。で?」

「は?」

「飲むとあつくなったり、興奮したりするナニかが入ってたワケ?」

「……」

「おい」

「……」

「まるいくん、まさかまた何かヘンなもの入れたんじゃー」

「決して変なモンでは」

「こら、何いれたんだよ!」

「人体に影響はありまセン」

「興奮するんなら影響あるでしょ!」

「いや、その…」

「まさか、また仁王…」

「いの一番に疑われて、散々だなあいつ」

「違うとでも?」

「その通りです」

「…ったく」

「こないだアイツ、旅行いってただろ」

「ああ、ロシアね。お土産にヘンなマトリョーシカもらったC」

「おきあがりこぼしだろ。あれ、露店で一目ぼれしたらしいぞ」

「一目ぼれ?の割りにはオレに寄越してきたけど」

「金髪でパラライカ持った人形がジロくんに見えたんだと」

「…あ、そう」

「あいつんちに、柄は違うけど同じヤツが何個もあったし」

「ふ〜ん。…じゃなくて、その仁王から何もらったワケ?」

「ロシア産のお菓子と〜」

「違うでしょ」

「なんだよ、お前も食っただろい」

「お菓子だけじゃなくて、こーれー!!」

「あ?」

「ここ、このジュースに入れた得体の知れないモンだって!」

「…ほじくりかえしてきたな」

「くるわッッ!」

「………」

「ほら、正直にはきな!」






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