ブンジロ台北編*昼食をめぐる戦い

*会話文




「よし、やっぱり王道は行っとくか」

「…う?」

「う、じゃない。ほら、行くぞ」

「どこに?」

「お昼どきだろい!」

「……さっき、朝ごはん食べなかったっけ?」

「朝は朝、昼は昼だろーが」

「朝市でしこたま食べたの、誰だよ」

「お粥メインじゃすぐ消化するだろ」

「…まるいくんだけだよ、それ」

「ほらほら、混むから早くいくぞー」

「どこ行くのさ」

「やっぱ、とりあえず押さえておきたいから、永康街!」

「ねぎもちでも食べるの?」

「それも食う。じゃなくて、昼は『鼎泰豊』だ!」

「小籠包ね…」

「セイロに10個いりだろ〜?なんこいけっかな〜」

「10ケースどころじゃないんじゃないの」

「美味いかによる」

「うまいでしょーよ。本店なんでしょ?」

「横浜でも行ったけど、やっぱ本場はチェックしとかねぇとな」

「はぁ…」

「ほらほら、出発!」

「お腹、たぷんたぷんだよ」

「ジロくん、朝メシそんなに食ってねぇじゃん」

「食べたよ!」

「豆乳とからっからな揚げパンだけだろい」

「豆漿(トウチャン)と油條(ヨウティヤオ)ね」

「あんなんで腹ふくれたか?つか女の子の朝食だろい」

「地元のおじさんたちもいっぱい食べてたでしょ」

「どんな味だった?」

「味見してたのはどこの誰だよ」

「いや〜サッパリしてたからな〜」

「豆乳の味」

「まんまじゃん」

「ねぇ、オレ、ホテルで待ってるから、行ってきなよ」

「…おまえ、恋人を異国の地で一人行かせる気か。心配じゃねぇのか!」

「何が異国。一人でどんどん朝市突っ走って、屋台のおばちゃんと意気投合してたの誰だよ」

「いやぁ〜すんげぇサービスしてくれたよなー。中華粥のおばちゃん」

「そりゃ、あんだけおかわりすればね」

「美味かったー」

「よかったね。十分でしょ」

「が、それはもう朝のことだ」

「は?」

「過ぎたことっつーわけで」

「まじまじ…?」

「大マジ」




「…で、昼メシなの?」

「旅行期間は短いんだぞ!目いっぱい食わなきゃ、損だろい」

「目いっぱい食うのはデフォルトでしょーよ」

「ほおら、立て!そろそろ行かないと、マジ店混むって」

「やだよぉ…お腹いっぱいだしぃ」

「じゃ、ジロくん食わなくてもいいからさ。座ってろ」

「大量のセイロに囲まれて、肉まんのニオイ充満してる空間って、満腹のオレには地獄」

「大丈夫だって。着くころにはお腹すいてるって」

「すかねぇよ」

「ジロくん。真面目な話。もう出ないと時間がない」

「…ねぇ、頼むから行ってきて。留守番させて」

「ダメだ」

「お願いだから」

「ダメったらダメ!」

「なんでだよ」

「お前一人でホテルに置いとけるか」

「…どういう意味?」

「心配だろい」

「……」

「今朝みたいなことがあったら、マジ死ぬ」

「…大げさだよ」

「起きたら隣にいなくて部屋にもいないなんて、恐怖だろーが」

「だから、ホテルのスポーツジム行ってただけでしょ」

「一言いってけ!」

「起きないんだもん」

「オレも誘え」

「最近運動しないでしょ」

「くっ…」

「高校生のときは、どれだけ食べてもすんごい運動してたから平気だったのにねー」

「……」

「ちょっとぷよぷよしてきてない?」

「ぷよい言うな」

「丸井くん、わかってるよね」

「あん?」




「これ以上太ったら」

「…!」




「ギリギリのラインオーバーしたら、痩せるまでエッチしないから」

「無理だろい」

「何がだよ」

「だって、一番いい運動ー」

「ばか!」

「…わーってるって」

「まじで。いまも結構重いんだからね?」

「なんだと?」

「上に乗っかかってくるとき」

「…まじでか」

「大まじだしぃ」

「じゃ、ジロくんが上に乗っかればオールオッケー?」





「…それ、真面目に言ってる?」

「すんません」




「ね?オレも協力するから、ちゃんとトレーニング、しよ?」

「……どんくらい痩せりゃいーんだ」

「とりあえず5キロ、いっとこーか」

「5キロ…」

「クリアできたら、好きなだけ食い放題もつきあってあげるから。リバウンドしない程度に」

「クリアできたら…」

「うん?」

「5キロ…いや、1キロずつ、ちょっとずつで、いいよな?」

「そりゃもう」

「1キロ痩せたら」

「やせたら?」

「ジロくん、言うこと聞いてくれる?」

「は?」




「なんかご褒美あったほうがやる気出るだろー!?」

「誰のためのダイエットだと思ってンだよ!」

「ごほうびー、飴ー!!」

「ちょっと…」

「イイこと無いと、頑張れねぇよー」

「……」

「なぁー、ジロく〜ん」

「……」

「目標クリアしたら頼み聞いてくれよ〜」

「…なにして欲しいワケ?」

「!それでこそジロくん」

「聞くとは言ってないC」

「いやいや、もちろんジロくが出来る範囲で」

「……なーんか、イヤな予感」

「ジロくんしか出来ないことだ」

「何させる気?」

「にっしっし」

「……ヤな顔だしぃ」

「好きな顔だろい」

「今は好きじゃないよ…」

「そうだな〜、こないだネットで新しいバ」

「オモチャ禁止ね」

「…最後まで言わせろい」

「変なもん、挿れようとすんな」

「……挿れさせてくれよ」

「ばっっっかじゃないの!?どういうモチベーションなんだよ、それ」

「健全な学生の、至極立派でまともなモチベーションだ」

「エロ禁止!」

「あんだと?じゃぁ、他に何をモチベーションにしろと?」

「オレに頼みたいことって、エロ以外で無いの!?」

「……じゃ、メイドさんのコスプ」

「それ、着るだけ?絶対にエロにならないわけ?!」

「そりゃ、メイドなジロくん前にしたら、剥かないワケがー」

「ばか!たまには違うこと考えてよ!!」

「ジロくんといたらムラムラすんだから、しょーがねー」

「オレといると年がら年中勃ってるとでも言うのかよ?!」

「近いモンはある」

「〜っ!!」

「あきらめろ。お前が可愛すぎんだろい」

「…どういう理屈なんだよ」

「ジロくんと二人っきりだと抱きたいし、キスしたいし、舐めたいし、挿れたいしー」

「真顔で言うな」

「舐めてほしいし、泣いてほしいし、アンアン言わせてぇし、『ぐちょぐちょのココに、ブンちゃんの太いの挿れてほしい』てもっと言わせたー」

「ちょっと待って。オレがいつどこでそんなセリフをはいた」

「愛されてんな〜俺」

「本っっ当、お気楽」

「愛してるだろ?」

「……愛してるけどさ」

「じゃあ、やっぱりご褒美をー」

「ったく。何?メイドさんになればいーの?」

「できればメイドコスで自慰して欲しい」

「はぁ?!」

「一人エッチして?」

「何でだよ!」

「ジロくんが自分でちんこぐちゃぐちゃしてイクの、みたい」

「それってメイド関係あんの?」

「それは単に見たいだけともいう」

「なんでまるいくんのためのダイエットで、クリアしたら俺がオ○ニーすんの…」

「俺のためならオ○ニーのひとつやふたつ」

「…ちょっと、ズレてない?」

「俺はできるぞ。ジロくんのためなら、手コキでも何でも!」

「聞いてないよ、それ」

「何なら今ここで証拠を見せようか?」

「はい?」

「しっかり見届けろよ。でもって5キロ痩せたら、ジロくんの番だぞ」




「ちょ、ちょ、ちょーっと待った!!」

「あん?」



「鼎泰豊行くんじゃなかったの?」

「あ」

「さっきから結構時間たったけど?」

「でもジロくん、お腹パンパンで行きたくないって」

「留守番ー」

「させるくらいなら、一緒にホテルにいる」

「は?」

「でもって、イチャイチャする」

「へ?」

「ジロくんの朝食のカロリー消費につきあう」

「…どうやって?」

「そりゃもちろん、ベッドでー」

「ホテルにジムがあるって言ってンだろーが」

「(無視)運動して、鼎泰豊は夕飯に行く」

「わっ、ちょっ…、何してー」

「何って、脱がせてますが」

「や、ばか!!」

「ばかばか言うなよ。傷つくだろい」

「せっかくの旅行なのに、真昼間からこんなことする気!?」

「究極の二択なんだから、しょーがねぇ」

「二択!?」

「これからランチに鼎泰豊行くか」

「お腹いっぱいだってば」

「……どうしてもホテルにいるっつーなら、ベッドから出さない」

「!!」





「ほら、どっちだ?」

「…まじ?」

「大マジ」

「まるいくん、楽しみにしてた台湾なんだよ?」

「いついかなるときでも、ジロくんとイチャつく時間は大切だ」

「や、そーじゃなくてさ…」

「ジロくん一人でホテルに置いていくなんて、できるワケねぇーだろい」

「……」

「心配で心配で小龍包なんて食えねぇよ」

「……の割には、朝市で人のこと置いて次々に屋台めぐりしてなかった?」

「そうだったか?」

「地元の人だらけの下町には置いておけて、ホテルには置いていけないのかよ」

「とーにーかーくー、どっちかだ!」

「鼎泰豊か、ベッド?」

「おう」

「……それ、オレ的にどっちもどっちなんだけど」

「ジロくんに選ばせてやる」

「はぁ…」

「ほら、どっち?」

「……」

「何ならベッドで一人エッチでもいいぞ?」

「…それ、ご褒美じゃなかったワケ?」

「そうだな。じゃ、やっぱりダイエット成功記念はジロくんのオ○ニーで」

「あ。」

「さぁさぁ、早く決めねぇと店も混むだろ?」








「………わかったよ」

「うん。で?」



「永康街行くよ」

「ジロくん!」

「食えばいいんだろ?食えばー!!」

「よっしゃあ!」

「食ってやるよ、小龍包でもなんでも」

「よし、二人で20はやつけるぞ」

「200個も食えるか!」

「ジロくんならイケる!」

「アホかー!」

「よしよし、じゃ行くぞ〜」

「はぁ……まじまじ、胃がぐるぐるする」

「?ヘンなもんあったか?俺は全然平気。胃薬不要!水も平気だなー。料理うまいし」

「そういう意味じゃないんだよ、ったく」







(終わり)

>>目次

***************

台湾旅行な会話文が、だんたんそれて定例お下品アホ話に。。
ちなみに丸井くんはその食いっぷりに賞賛の拍手を送られ、台湾の大食い番組にスカウトされたそうな。


次は誰とどこにしようかな〜。「プリガムレッド、世界を旅する」的に。>え。

赤也とハワイ♪
におくんとヨーロッパ?
国内もいいですね〜。赤也と沖縄、におくんと飛騨高山か白神山地、丸井くんと大阪?北海道?博多?ていうか食いモン?

赤也をビーチに連れていきたひ。。。



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