タイガー○ーム事件 by 切原赤也





ひくひくした襞に舌を這わせてゆっくりと舐めながらほぐすと、付け根がビクっと奮えた。


「んっ…」


あがる声はひたすら甘い。
恥ずかしいのか両手で顔をおおい、嫌々と頭をふる彼の、やわらかな金糸の髪が揺れる。


「やっ、あかや…」


受け入れるために自分で後ろをほぐしたり、切原のモノを咥えてイカせてあげたりするのは躊躇せずやるくせに、自分が『される』行為はひどく恥ずかしがる。
それが切原としては不思議でならないのだが、いつも気持ちよくしてもらっているから自分だって彼に同じことをしてあげたい。
彼が自分で後孔をゆるめ迎え入れる準備をするのはひどく色っぽく、それを眺めるのもたまらなく好きだ。
でも、やっぱり彼の後蕾に入るのは自分だけにして欲しい。
たとえそれが彼自身の指だとしても、それをどかし、かわりに自分の指でほぐして、そそりたったモノをおさめたいワケで。


「も…っ…いい、から」


たとえどんなに嫌がっても、照れて恥ずかしがっても、コレは譲れない!
とばかりに後孔に舌をすべらせ、ひくひく動く穴の奥へ奥へと沈めた。
入れた舌を少し動かすたびに彼の全身がはね、舌から与えられる快感に耐える姿がたまらなく色っぽい。


「やだ、もう……んんっ」



きつそうだった後蕾は、丹念に舌と指でほぐしたおかげでだいぶほぐれてきた。
そろそろ大丈夫かな、とも思うけど、ここはやっぱり何かしら潤滑財もつかってより滑らかにしてあげたほうが彼の負担にならなくてすむ。


「ちょっと待ってて」


といってもローションやジェルがあるわけでもなく、姉が不在のときは部屋に忍び込んで、ハンドクリームやボディジェルといった体に害の無い、甘いニオイのするものを潤滑財としてコッソリ使わせてもらっているのだけど、あいにく拝借しにいくのを失念していた。
ならば、と自分の部屋に唯一あるもの……といっても、生傷が耐えない自分のために母がよこしてくれた軟膏(オロ○イン)なのだが。
こういうときに役にたってくれる軟膏を―とカバンから取り出すと、殆ど中身が無く、ひとすくいもできない量だった。


まずいな。


「あかや…?」



動きの止まった切原を訝しげに見つめる彼の瞳は、情欲の色が浮かんでいて、トロンとしている。
ひくひくしている後孔が欲しがっているモノを、無意識に求めているのか切原の目をまっすぐ見つめていて。

途端、すでに準備万端だった自分の息子ちゃんが、ぐっとより大きくなり、一刻も早く彼の中に入りたいと訴える。
…が、もうすこし待ってくれ。いくら慣らしたとはいえ、彼を傷つけたら大変だ。

最後の準備として、ローション、ジェル、クリーム……ええい、なんで無いんだ!!




困った…と天を仰ごうとした視線の先に、チラっと緑のパッケージが見えた。



「あ…」



そういえば、これも同じような軟膏?



以前、台湾旅行から帰ってきた姉からもらったお土産の、いわく『擦り傷、切り傷、筋肉痛、肩こり、疲労、うちみ、腰痛…とりあえず何にでも効く』と店員さんに言われたらしい万能薬。
聞いたことがある名前だけど、小さい頃から『とりあえずオロ○イン』か『マキ○ン』で育ってきたので、そのほかの塗り薬のお世話になることはまあ稀だ。

『アンタのオロ○インと同じようなモンよ』と言われ、ポイっと渡されたものは、そういえばまだ使ってたことがない。
現地で叩き売りのように大量販売され、さらに激安だったらしくまとめて購入しバラまき土産でふるまったらしい残りを弟によこしてきた。


(これ、使ってみるか)


箱から小さい瓶を取り出して、ふたをあける。
半透明な薬を指ですくってみようとしたが、いつものオロ○インのように量を見た目で確認できるほどすくえない。


…このくらいでいいのだろうか?


お試し、とばかりに少量を指にとり、そろそろっと彼の後孔まで持っていった。


「んっ…」


つぷっと入り口に入れた人差し指を、そのままゆっくり奥までのばして、根元までおさまるとそのまま円を描くようにぐるぐるまわして、まんべんなく塗ってやる。
中はすでに柔らかく、指を抜こうとしたら絡みつくかのように吸い付いてきて、ひょっとして塗らなくてもバッチリOKだった?それじゃもういいかな?


パンパンに張っていたイチモツを後蕾のあてて、貫こうとしたまさにその時―







「うっ…な、なに…っ…ひゃっ、あ、あぁ」





(え、な、なんだ?
まだ挿れて無―)





「あかっ…なに、塗った、の……っはぁ、うぅっ」

「へ?」




悩ましげに眉を寄せ、視線をさげて−切原がまさに挿れようとしていた自身の後孔と切原とを交互に見つめ、言葉にならない喘ぎでなにやら少しパニックを起こしている、、、のか。



「何って、ただの軟膏ー」

「やっ…中、なんかっ…ヒリヒリしてッ…」



思わず先ほどの小さな瓶の説明書きを読もうとしたが、、、あいにく英語と中国語?で書かれており何がなんだかさっぱり。



そういえば、さきほど少量とって塗りたくった指が、なんだかすーすーする。
…メンソール系?



「やだ、熱…っ…」


相当苦しいのか、はたまた中がかゆいのか、刺激が強いのか。
じわじわと中からわいてくるヒリヒリを何とかしようと腰をゆらし、身悶えている慈郎にオロオロしつつも、どうしようどうしよう!
…と一瞬迷った結果、もっと刺激を与えたら、彼が苦しんでいるヒリヒリも飛ぶかも?!



「ジローさんっ」

「あかやっ…」


揺れている彼の腰を両手でがっちり掴み、足をあげさせて一気に貫いた。



「ひゃんっ、あ、あっ、あぁぁーっ」


一際高い声があがり、より強い刺激に慈郎は両目をぎゅっと閉じて、その重みをすべて受け入れる。



「あっ、あっ、はぁ…っ、あか…や…」

「ジロ…くっ、はぁ、はぁっ」



大きくグラインドし、腰をすすめて奥へ奥へと突いてやる。
引こうとするとぎゅっと締め付けてきて、惜しむように絡み付いてくる彼の中がひどくイヤらしくて、たまらなく愛しい。



というか、ヒリヒリする、と泣いて身悶えた慈郎の中に入った切原のモノがー



(なんか、スースーしてきた…)



すでに膨張している切原自身もかなり熱いことになっていたが、そこに別の刺激―慈郎が感じているであろうヒリヒリ感がプラスされて、なんだかむずむずしてきた。
このスースー感をなんとかしようと、いままでに無いほど強い力で慈郎を抱きしめ、根元までおさめたモノをテンポよく動かす。
そのたびに締め付けてきて、無意識だろうが腰を突き出してくる彼の姿態にたまらなくなり、夢中になって彼に覆いかぶさり、貪っていく。




「うっ、うっ、は…っ、あぁっ」




塗られた先からわいてくる強い刺激はかなりキツイものではあったけど、それを打ち消すかのようにガンガン突いてくる切原のモノが、中でどんどん大きくなっていって、最奥に到達したとき頭が真っ白になり、白濁したものが飛び出てお腹に飛びちった。
直後、張り切れんばかりに主張していた切原自身も弾け、どびゅっと大量の迸りを慈郎の中へ注ぎ込んだ。




「はぁ、はぁ、っ」

「…っ…はぁ」



そろそろっと中から出すと、入りきらない白いものが彼の後孔から溢れてきた。



「ジローさん、ごめん、何か…おれ」

「はぁ、はぁっ…」



割とすぐに落ち着いた切原に対し、まだ中がキツイのか、慈郎の呼吸は乱れたままなかなか戻らない。
何か言おうとしているのか、言葉を発しようとするのだけど、出てくるのは声にならない喘ぎばかりだ。


(何の薬なんだよ、これ…)



呼吸を整えようとしている腕の中の恋人は、辛そうに眉をよせて、目尻には涙を浮かべ、助けを求めているかのように切原から視線を放さない。



「ジローさん、きつい?」

「んんっ…はぁ、っ…だ、い、じょ…ぶ」


へにゃっと力なく笑い、平気だと言ってくれる。
が、……単語になっていない。


「おれが、治す」

「はぁ、はぁ……えっ?」




苦しいんスよね?
奥がひりひり、むずむず、すーすーするんスよね?
おれ、責任もってジローさんが治まるまで、頑張ります!




「ひぃっ、あぁぁぁああん」




(赤也、違っー)







その後、部活で培った体力をフル動員し、切原赤也は慈郎の中を突きまくった。
もう大丈夫だから、と何度言われても信じず、疲れた慈郎が寝てしまうまで一度も中から出なかったという。


恐るべし、姉のタイガー○ーム。
やっぱおれはオロ○インだ!


何の決意なのか、こんな危ない軟膏はもう使えねぇ!と、せっかくの海外土産だが次の日、部活の先輩にあげたらしい。
(そもそもそれ用の軟膏ではないという事実はサッパリ追いやって)








(終わり)

>>目次

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赤也がおバカという話です。

彼は本心でジロを治そうとして、頑張ってガンガンだったのですよ、、、

シンガポールでも香港でも台湾でもどこでもいいんですけど、アジアってあちこちにタイガー○ーム売ってるよね、という。
ワテクシは台湾旅行時に買いましたが。
海外のヤツって、すんごくスースーしていて刺激が強い。
台湾でかったタイガー○ームを皮膚にぬったら、すんごくヒリヒリ、スースーしたという。
間違ってもデリケートなところに塗ってはいけません!(眠気覚ましに目のしたあたりに塗った知人はあまりのスースー感と痛みに涙を流し身悶えてました)

ワテクシの切ジロにおける赤也さんは、連射タイプでエロは不得手なので、こういうのは丸井くん相手のほうがおバカ話としてさくさくいけそうなのですが。
オロナイン=赤也、で相手が赤也になりました。
丸井くんだったら、面白がってもっと塗りたくりそうですよねーなんて。

あ…丸井くんバージョンのタイガー○ームが書きたくなってきました>え。


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