切原赤也の初恋物語*オマケ

*後日談(会話文)




プルルルルルルー



プルルルルルルー



プルルルルルルー






ガチャ。



『…もしもし』



「お、ジロ君。わりぃ、寝てた?」

『宿題してた。でも、眠いからもう寝るよてい。オヤスー』

「わー、ちょっと待って!」

『……なに?
今日はツカレタから、早く寝たいしぃ』

「おう。俺の用事が終わったら思う存分寝ろ。まだ切るんじゃねぇ」

『本っっっ当、ジャイアンなんだから』

「剛田ブン太と呼べ」

『ハイハイ。…で、どったの?』

「あのさ。ちょっと聞いときたいことがあんだけどさ」

『うん?』

「ジロ君、最近よく赤也と遊んだりするだろ」

『………うん』

「(何だ、この間は…)
それで、ちょっと赤也のことで聞きたいっつーか、教えて欲しいっつーか」

『もしかして、丸井くんの仕業?』

「へ?」

『切原のこと……けしかけたでしょ』

「は?なに、アイツ、ジロ君とこ行ったの?
(行動早ぇな。ジャッカルんとこ行ったの、おとといだぜ?)」


『今日、氷帝に来た』

「へぇ〜。…って、アイツ今日、家の用事で部活休んだんだけど」

『立海は練習オフって言ってたけど』

「…真田にバレたら鉄拳制裁だな」

『こっちも練習中だったんだけど、オレ、たまたまベンチで寝てて』

「いつもだろい」

『まぁ、そうなんだけど。起きたら目の前にいて、ビックリしたC』

「で、アイツ、何て何て??」

『……知ってるんデショ』

「いやぁ、ジロ君の口から聞きたいな〜」

『まじまじ、言いたくな〜い』

「言え!とっとと言え。吐け!」

『も〜、ほんっと、ひとごとだと思ってー』

「なんのなんの。
しっかり相談にのってやった優しいセンパイとは、俺のことよ!」

『ヘンなことばっかり言ったんでしょ』

「なぁに言ってンだ。どストレートに言ってきただろい。
(アイツは直球勝負だからな。オーソドックスに告白だろうな〜)」

『…どストレートすぎたよ』

「ま、アイツらしいだろ。で、返事は?」

『………保留』



「……」

『…なんだよ』



「ジロ君、赤也のこと、キライじゃないだろ?」

『…キライなら一緒に遊んだりしないよ』

「そーいうんじゃなくてさ」

『切原だって、オトコがすきなワケじゃないでしょ』

「ジロ君だってそーだろい。中学ん時の恋人、全員女だし」

『あたりまえだC』

「でも、赤也のこと、完全に『無し』じゃねぇだろい」

『……』

「ジロ君、そういう偏見無いし。ていうかどっちでもイケそ〜じゃん」

『……まるいくんもね』

「ゲイがどうこうとかは無いけど、俺は可愛い女のコ限定だから♪」

『節操無いくせに、よく言うよ』






「なぁ。マジメにさ」

『…うん』




「赤也のこと、アリ?ナシ?」

『……それ、まるいくんに言うの?オレ』

「おう。ジロ君の一番の親友であり、赤也の良き相談相手かつ大事な先輩でもある」

『大事な先輩はともかく、オレの一番の親友は、岳人と宍戸だしぃ』

「ンなこと言うんじゃないよ」

『まだまだ。跡部でしょ〜、滝に〜、忍足もいれてやるとして〜』

「忍足が泣くぞ」

『丸井くんは〜8番目くらいかな』

「泣くぞ、俺が」

『はいはい。他校では一番ですよ』

「よろしい。で?」

『……』

「ほら、他校一番の親友だろい」

『………』

「ダブルデートもしたし、お互いの元カノも知ってるし、初エッチも、何もかも知ってる大親友だろ?」

『初エッチ言うな』

「俺がどんだけジロ君の初体験の相談にのったか」

『よく言うよ。それは丸井くんでしょ?兄ちゃんに散々相談してたのは』

「おう。あの節はジロ君のお兄様に大変お世話になりました」

『初々しかったのにねぇ。なんで、こんなになっちゃったんだか』

「お互いさまだろい。つーかジロ君はお兄様に言いたくないっつーから、俺がセックスのイロハをー」

『セックス言うな』

「ま、とにかく。赤也だよ、赤也」

『切原ね』

「アイツの気持ち、わかってたんじゃねーの?」

『……なんていうか、近いし』

「近い?」

『スキンシップって言うか。…でも、切原ってもともとそういうタイプでしょ』

「距離が近いって?
ジロ君ほどじゃねぇだろ」

『オレは万人等しく人懐っこいんだしぃ』

「外ヅラいいしな〜」

『ソトヅラ言うな』

「抱きつくヤツは選んでるしな」

『そうそう抱きついたりしないって』

「跡部に抱きついてンの、何度も見たぜ〜?」

『あれは…跡部、イイにおいすんだよね〜。ジャージも生地が違くて、すんごく肌触りいいし』

「そんな理由かよ」

『それに、嬉しそうにするんだよ』

「ジロ君が抱きつくと?」

『スキンシップ不足なんだろうね〜
…ってことで、跡部は特別です』

「赤也を入れてやれよ、そこに」

『……保留です』



「アイツがスキンシップ多いイメージもそんなにねぇけど、ジロ君限定なんだろ」

『…そうかもね』

「それで、なんとなくわかったって?」

『……オレもスキンシップするほうだから、それだけなら特に。ただー』

「ただ?」

『たまに、なんだけど…。寝てるときとかにね』

「(!まさか…)」

『キスしてくんの』

「(一昨日言ってたヤツか)」

『最初ちょっとビックリしたんだけど、何回かあって。
いつも熟睡してるワケじゃないから、わかるときはわかるんだよねぇ』

「…寝込み、襲われたか」

『ちゅって触れるだけの、軽いヤツだけどね』

「ディープだったら引くだろ」

『まぁ、とにかく』

「よく触ってくるし、寝てたらキスしてくるし?」

『で、起きたら何だか顔真っ赤にしてるときもあるし』

「…そりゃ、嫌でもわかるな」

『だよねぇ』





「…で?」

『は?』



「結局どーなんだよ。はっきりしろい」

『……』

「赤也に可能性、あんのか?」

『……』

「無いならジロ君ははっきり言うだろ?保留っつーことは」

『……あるよ』

「!!」

『でもさ…』


「(でも…?)」

『……』

「(とりあえず赤也、よかったな〜!)」

『……』

「(てういかよかったな、俺!これでアイツのうっとおしい恨み言にー)」

『……』

「?ジロ君、どうした?」






『切原って、オレのこと好きなんだよね?』

「…そうだろ?
(何をいまさら。今日、告白されたんだろ?)」

『……OKするとして』

「うん」

『オレ、どうすればいいの?』

「は?どうするってー」

『アナルセックスって、経験無いんだけど』

「はい!?」






『……』

「……」



(つーか、いきなりそこかよ!?)







「…やったことあるだろい」

『まぁ〜そうだけど〜。でも、そん時は年上のオネーサンだしぃ、慣れてる人だったし、
それに挿れる方だからそんなにタイヘンでもなかったし。オトコ相手だとわかんないでしょ』

「一緒だ、一緒。つーか何で急にアナルセックスなんだ」

『だって、そういうことでしょ?』

「展開が早すぎんだろい」

『??』

「ジロ君はともかく、アイツは全部初めてなんだぞ。
まずはお付き合いからはじめて―」

『エッチするんじゃないの?』

「おいおい。いずれはそうだろうけどよ、順序ってモンが」

『……まるいくん、相談のってたんでしょ?』

「のったけど」

『今日、切原が来たのって、丸井くんの差し金でしょ?』

「いや、焚きつけたのは事実ですけどね。差し金って。
それに、別に変なことじゃねぇだろ?直球ストレートにー」

(告白されたんだろい)




『ど直球にね』

「どこもおかしくなくねぇ?」





『…切原って、誰とも付き合ったこと無いんだよね?』

「おう。ジロ君が初恋だ」

『どうも。…それで、ああいうこと言うの?』

「?なんだ。アイツ、全員に聞こえるくらい大声で言ったのか?」

『全員いたわけじゃないけどね。2年だけの練習だったし』

「あちゃ〜。まわりに聞こえちゃったか」

『寝てたとこのコートにいたの、レギュラーだけだったから、まだ』

「じゃ、跡部や忍足あたり?」

『岳人も、宍戸も…あと数人ね。コート外にも聞こえたかもしんないけど』

「しょうがねぇヤツだな〜。ま、アイツもいっぱいいっぱいだったんだろ」

『…だからって、アレはね』



「…だから、それのどこが変なんだよ」

『ヘンでしょ』

「普通だろ?好きなヤツの前だぞ?」

『…普通なの?丸井くんもそうなの?』

「最初の彼女ん時は、俺も純情少年だったから。ストレートにな」

『……あ、そう』

「おうよ」

『…で、切原に入れ知恵したの』

「入れ知恵っつーか、知恵でもねぇだろ。普通に、直球でいけ!って言っただけだぞ」

『丸井くんの「直球」ね』

「?なんだよ。さっきからおかしくねぇ?」



『……』

「……」

『……』

「……」





『好きな人に、「俺の童貞もらってください!」って言うの、普通なの?』

「好きなヤツに、『好きです、付き合ってください!』て言うのがそんなに変なのかよ!」




『……』

「……」

『……』

「……」



『えぇ?!』

「はい!?」



『……』

「……」

『……』

「……」




『…どーなってんのさ』

「いや、ほんと…何ていうか。アホな子でー
(…だからジロ君、アナルセックスって……あのバカ!」



『……アレって、切原なりの「好きです、付き合ってください」なの?』

「そのつもりでジロ君のとこ行ったと思うんだけど…
何がどうしてそうなったのか、……わかんねェ」

『丸井くんの影響では無い?』

「ンなことアイツに言わねぇっつーの」




『……』

「……」




『切原にオッケーするってことは、すぐセックスってことだよね?』

「い、いや、そういうことでもね〜んじゃねぇかな?」

『だって』

「童貞云々はこの際おいといて」




『……オレが切原に挿れればいーの?』

「はい!?逆だろい
(それじゃ童貞のままだろ)」



『えぇ〜?やっぱりそういうこと?ていうか自信無いしぃ』

『何事も経験だ。ジロ君ならイケる』

『……完全に適当』

「人事だからな」

『面白がってるでしょ』

「おめぇも男なら、なんでも挑戦しろい」

『えぇ〜?なんか意味ちがくない?』

『違わねぇ!快楽を追求するんだ、ジロ君!』

『オレ、痛いのキライだC』

「赤也にはちゃんと勉強させとくから、大丈夫!」

『丸井くんが教えるの?』

「…どーやって俺が教えンだよ」

『実地で』

「はぁ?」

『挿れさしてやんなよ』

「ばぁか言ってんなよ?」

『切原にメールしてみよ〜っと。保留解除でオッケーするけど、『丸井くんで勉強してね』っと』

「あ、おい!ヤメロ」

『何事も経験だよ?まるいくん♪』

「あのなぁ。アイツはジロ君に童貞捧げたいんだから、他で練習したらダメだろーが」

『…う〜ん、責任重大?』

「大人しくヤられろい」

『すんごい横暴…』

「そんなに嫌でもねぇだろ」

『…んー』




「好きなんだろ?赤也」

『…可愛いもんね』




「キスされても拒まねぇのは、受け入れてる証拠だろい」

『…そう?』

「ジロ君、嫌なヤツには触らせないじゃん

『ちゅーくらい、どーってことないしぃ』

「カワイソウなこと言ってやるなよ…」

『う〜ん』

「な?アイツの童貞、もらってやって?な?な?」

『う〜』








(赤也……俺はジロ君の背中を押してやったぞ。
後は自力で何とかしろぃ)








(終わり)


>>目次

***************

友人設定のブン太+ジロ君は、こんな感じです。
下ネタもなんでもあり、ドライな部分もあり、突き放すこともあり、何でもあり。

赤也に『俺の童貞もらってください!』を言わせたいがための『切原赤也の初恋物語』だったのに…
直接言わせてあげられなくてゴメン。

ちなみに氷帝のコートで爆弾発言をした切原くんは、跡部様により出禁になりました。

最初に本編の半分くらいまで書いたあと、ブン太+ジロ会話文の後半からラストができて、本編の後半が出来て、会話文の最初の方を書いて…
と何だかへんちくりんな書き方をしてしまったので、つじつまというか、
流れというか…おかしくてもヨシとします。





[ 32/97 ]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -