君のためなら作りましょう*ニオジロ

*会話文





「ほら、シロップついてる」

「ん。あんがと」

「ほら、服にもついとる。落ち着いて食べんしゃい」

「におくん、跡部みた〜い」

「…キング?」

「跡部にもしょっちゅ〜注意されるー」



『こら、ジロー。よく噛んで食べろ』
『食事中にゲームをするんじゃない。ほら、DSしまえ』
『食わねぇならトマト突っつくな!』
『どういう切り方してンだ。ほら、ナイフ貸してみろ。ミルフィーユはこうやって切るんだ』




「…母親じゃの」

「それはオシタリ〜」




『こら、ジロー。ちゃんと野菜も食べ。肉ばっかりやんか』
『好き嫌い言ってると、大きくなれんよ?』
『テーブルに肘ついたらあかん。ちゃんと行儀よくしぃ』
『ほら、リクエスト通り、ちゃんとミルクパンで牛乳から煮出したミルクティや。温かいうちに飲み』
『ちゃんと髪乾かさなアカンで。ほら、こっち来ぃ』




「…他のやつらも、そうなんか?」

「う〜ん、フツー?」




『お〜い、母ちゃんが持ってけって……って、ジロー。
また寝てンのかよ。ったく、どういう店番なんだよ、お前は。
起ーきーろッッ!!
おい。置いてくぞ?ちゃんとおばさんに渡せよ??』


『ジロー!!いつまで寝てンだよ。
次体育だから、異動すっぞ。
ったく、毎度毎度…おまえ、今日日直だから用具準備があるだろ?
ほら、起きろ。手伝ってやっから、行くぞ』




「向日に宍戸――幼馴染やったか」

「うん。小さい時からずっと一緒〜」




『あ、ジロー先輩。ここにいた。
先輩、起きてください。委員会始まりますよ?
宍戸さんが探してました。
せんぱ〜い、起きてくださいよ〜。
運びますよ?いいですね?』


『芥川先輩、いいかげんにしてください。
今日は俺と試合形式で対戦でしょ。
皆もう始めてます。先輩がいないから、俺だけやれてないんですけど。
不戦勝ってことにしますよ?
……ほら、早く起きてください。行きますよ。勝負してくださいよ。
今日こそ勝ちますから』


『ジロー先輩…………跡部さんが、呼んでます。
…起きて……くだ………さい……ウス。』




「後輩たちも、甘ー…いや、優しいな」

「うん。みんな起こしてくれるしぃ」

「…ミルクパンでロイヤルミルクティのほうが良かったか?」

「えぇ?ううん。におくんの淹れてくれた紅茶、おいCよ」

「甘い方がええんじゃなか?」

「どっちも好き。ミルクティも好きだけどー
におくんの紅茶、香りが爽やかで、ほんのり甘くでおいしい。
こういうのはストレートが好き」

「……入荷したてのファーストフラッシュじゃけ」

「あんま渋くないね〜。味もしっかりしてるしぃ」

「よぅわかるの〜」

「跡部ん家で叩き込まれた」




『おい、ジロー。こんなにいいセカンドフラッシュを…
味わいもせずじゃぶじゃぶミルクと砂糖をぶち込むんじゃねぇ。
いいか、紅茶はー』

一ヶ月後。

『どうだ?直感でいいから、ちゃんと感想言ってみろ』


半年後。

『そう、これはウバで、等級も正解だ。やるじぇねぇか』


一年後。


『…美味く淹れられるようになったじゃねぇか。
違いもわかるようだし。よし、ご褒美にアフタヌーンティ行くとするか。
マンダリン・オリエンタルでいいな?』
注:香港





「(香港って…)」

「まじまじ、びっくりしたしぃ」

「相変わらずか」

「英国は遠いから香港なんだって。
紅茶もよかったけど、スコーンとケーキがすんごく美味しかったな〜」

「そうか…」











「でもでも、におくんのホットケーキも、同じくらいすんごくおいCー!!」

「……そりゃよかったナリ」

「ってことで、もう1枚焼いて」

「…薄いの?それとも、ふわふわ?」

「薄ふわ!」

「(どっちじゃ…)
メープルシロップでええか?」

「ナッツのやつがいい」

「ナッツ…?」

「このまえ、幸村くんにもらったヤツ!」

「ああ、ハワイ土産の」

「ブーツ&キモズのパンケーキみたいなのがいいな〜」

「ほんじゃ、努力してみるか」

「期待してま〜す」













「うわぁ〜、ブーツ&キモズのマカダミアナッツソース・パンケーキみたいだしぃ!」

「ふっ…力作じゃき」

「もぐもぐ……!!
すんげ〜うまいよ、におくん!!
まじまじ、すっげぇ!!」

「パンケーキだけならブン太に負けん」

「うん!まるいくんのもチョー美味しいけど、
におくんってば、上の上いってるよ〜!!」

「今年の海原祭料理大会、お菓子部門にエントリーしようかの」

「ぜーってぇ優勝だよ〜ちょーうまい」

「コピーは完璧じゃけ、そこからアレンジしてオリジナルパンケーキに…
ブン太の連覇を阻止でもしとくか」

「どっちに投票するか迷うところだけど」

「芥川は俺にいれんしゃい」

「そこはほら、平等だから」






「恋人を応援せんか」

「まるいくんがパンケーキ出してきたら、ぜったいにおくんの勝ちだからだいじょーぶ」





ーでも、ケーキだったらまるいくんってば天才的だから。







「…文化祭直前に、ブン太つれ回してパンケーキ漬けにしてみるか」




(あいつは単純だから…
興味もったら一直線、しばらくパンケーキに没頭するに決まってるぜよ)










(終わり)

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ブーツ・キモズのマカダミアナッツ・パンケーキ好き!
美味しか〜 @ハワイ・ホノルル


におくんは、まるいくんがパンケーキで出場するよう、洗脳するらしいです。

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