仁王くんの場合




春休みも終盤に差し掛かった3月末某日。
家族は3泊4日の北海道旅行に出かけ、自分はテニス部の練習があるからと一人留守番を買って出た。
もちろん練習といっても終日やっているわけではないから、半日はフリー。
そして、夜は完全に自由。

高校生の身には、ちょっとした開放感とともに、イケないこともしてみようか…なんて思ったり思わなかったり。

とりあえずは、仲の良い友達を呼んで騒ごうかとも思ったけど、ダメもとで誘った恋人から一発OKが出たから、4日間は甘い蜜月を過ごせるかな、とついにまにましてしまう。

『なにそのイヤらしい顔…』

とは、我が家を訪れた恋人の、玄関先での一言。

今夜からの4日間を想像したら、…体力も精力も何もかも、満ち溢れてる高校生男子。
そりゃもう言わずもがな、だろう?

覚悟しておけ。


…とちょっとした意気込みもあったのだが、、、いかんせん肝心の恋人が、そんな決意もなんのその。


いつもと変わらずで…。
こんな天使のように、柔らかい目で、幸せそうに微笑まれたら。
ご無体なことが出来ないではないか。。。。いや、しかし。





***** @仁王くんの場合 *******



とりあえず、頑張ってご飯つくって、『美味しいC−!』と満面の笑顔をもらって、シアワセな新婚さんの如く、夕飯を楽しんだ。
一緒にお風呂に入って、ちょっとイタズラして、顔真っ赤になった恋人に怒られて。
ベッドで謝って機嫌直してもらって、抱き合って。
やがて果てた恋人は、そのまま意識を飛ばし―――幸せそうな吐息が聞こえだした。






すぴー、すぴー

「・・・・・」


ほんの数分前まで、あられもない声をあげて、恍惚な双眸を浮かべていたというのに。
大きく身を震わせ、腕の中で果てた彼を追うかのように、その中へ熱いものを盛大にぶちまけた。


荒く吐いた息が交じっていたが、やがで自分のものだけが響き……

ふと顔を覗くと、いつもの吐息が聞こえてきてー



「寝るの、早すぎじゃき……おい、芥川」

「ん…」


頬を軽くつねったら、眉を寄せて手を払われた。


これは、完全に寝てしまったか…?


愛しい恋人は、どこでも瞬時に寝れるかつ寝に入るにも数秒で落ちることが出来る、という特技を持っていた。
(熟睡も可)


さて、困った。
まだ1回しかしていない。
二人っきりで会うのも数週間ぶりだし、お泊りでソウイウ行為となると、お互い忙しいこともあって2ヶ月以上もご無沙汰だった。
久しぶりの逢瀬を楽しみにしていたのは二人とも同じだが、予想以上に早く芥川が睡眠モードに入ってしまった。

おおいに困った。
だって、まだ1回しかやってない。(シツコイが何度も声に出して言いたいくらいだ)


先ほど芥川の最奥にぶちまけてから、一度ぬいてティッシュでぬぐったが、彼の後孔からは白濁とした証が少し垂れている。
とりあえずは冷静に、キレイにしようと指を入れてかきだしてみた。


「…ン…っ」

「…起きんかの」


多少は反応したが、すぐさま沈没。
気持ちよさそうにむにゃむにゃ寝ている。



ちょっとしたイタズラ心がわき、指をふやして、自分の出した精液をかきだしつつも、さらにひろげようとまわしてみる。
…が、反応がいまひとつ。

(これならどうだ…)

さきほど、泣いてよがっていたスポット…性器のちょうど裏側付近にある、芥川が感じる部分を集中的に、リズムをつけて押して見るとー


「あ…っ……んん」

(起きたか?いや…)


先ほどまでの気持ちよさげな表情から一転、悩ましげに眉をよせ、吐くと息もどこか色をにじませてきた。

…が、起きるまでにはいかず。


指では起きないか。
じゃあ、いれてみるか。


寝ている相手にするイタズラとしては、いかがなものか…と思わなくも無いが、寝ぼけつつも頬を紅潮させ、色っぽい表情を見せられたら煽られてしまい、、、
ムクムクと持ち上がった自身の矛先として。。。ここはやはり、目の前にいい鞘があるのだから、収めずにはいられない。
ご馳走を前にして、自分で抜くなんていやだ。


…と、多少自己中な気もしないでも無かったが、まぁいいか。と、おし進めることにした。

後で烈火の如く怒るかもしれないが、額を床につけてひたすら謝れば許してくれるので、深く考えないことにする。
(およそ自分がしそうにないことかもしれないが、芥川相手の土下座はいままでの付き合いで数度披露し、その度に許してもらっている)



「…じゃ、いただきます」



ズズズ…


ちょっと面白くなってきたので、起こさないように慎重に身を進めてみた。


「んっ……」

「これでも起きんか…」


ある意味すごい。

一度果てているからか。
処理したとはいえ、中でぶちまけたからか?
スムーズに、ひっかることもなくすっぽりと、全て収まってしまった。


とりあえず、ゆるく動いてみる。


「ふっ…あ……っ…」


うん、起きそうで起きない。
体は覚醒しそうだけど、脳がまだ寝ているのか、、、寝ていたいのか。


両足をかかえあげて、ゆっくりとはいえ体内に異物を抜き差しされているというのに、吐息は徐々に不規則になってきているというのに。


「あ…っ…んん」


何故、起きないのか。

このまま打ち付けても、再び中で果てても、目が覚めないままとかあるんだろうか。
なんて不思議に思いつつも、激しくついたらどういう反応になるのか?
少し気になり―



「…くらえ、レーザービーム」


抱えている両足を強く掴み、腰を激しく打ちつけた。







「…っ、はっ、……や、な、なにっ……ひっ!」

「あ。」



起きちゃった。


…が、急に止められるわけもなく。




「侵略すること、火の如し!」


「ひぃ、あっ、あっ、うぅ…っ…、いやっ…ああぁぁぁー」




ゆるやかに覚醒しはじめていた身体に、急激に襲った快感についていけず、
…頭が真っ白になり、ただ、喘ぐしか出来なかった。



(ひゃっ!な、なに…?ここ、どこ?
オレ………え、におくん?



ーって、何やってんのーッッッ!!!)






「やっ…!ぬ、ぬいて……っ」

「ジャックナイフ!」

「…っ、あっ、あぁーッッ」





調子にのって、こんな感じでポンポン続けてしまった。



「スカッドサーブ!」


「ひぃ、あ……ぁ…やっ…ば、ばかぁ!」







結果。





予想通り、とでも言おうか。






「はぁ、はぁ……っ……なに…かんがえっ」

「はぁ〜、ええ気持ちじゃき」

「ば、ばかっ!信っっっじらんねぇ!!」

「ふっ…芥川よ。事実ぜよ」

「アホか!」

「ほれ、こっち向きんしゃい」

「ばかばか!寄るな、ケダモノ!」

「酷いの〜」

「くんなッッッ!!
あっちいけ!」


「ここは俺のベッドぜよ」

「〜っ!!リビングいって寝て!」




からかっていたら本気で怒り出したので、その後ひたすら土下座し、なんとかベッドに入れてもらったんだとか。
最終的には抱きしめて眠る許可を得たので、なんだかんだ幸せで満足な1日目になったらしい。








(終わり)


>目次

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におくんの必殺技は、ダッシュ波動球ならぬ、ダッシュ土下座らしい(芥川限定)
コツは、芥川の許しが出るまでひたすら額をつけて、顔をあげないことなんだとか。

くらえ、レーザービーム!
が気に入ったらしいにおくんは、たまに柳生コスでヤろうとするらしく、芥川が心底嫌がるんだとか。
それを芥川丸井ラインで情報を得た丸井がバラし、柳生にお説教されるんだとか。







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